シュナウザーの胃と小腸

犬の胃は、1日1食で平気な事からもわかるように、体の割にとても大きくできています。もともと丸呑みするタイプの動物だったという原因もあるようです。また、肉は比較的消化に優しいので、胃の消化力はそれほど強くはありません。

胃の働き

ミニチュアシュナウザーなど犬の毛をカットするのが仕事のトリマーさんでも、このような胃の知識を知っておくと何かと便利かもしれません。
犬の胃の役割は、人間と同じで入ってきた食べ物を胃酸と消化酵素を分泌した胃液が溶かします。胃酸は塩酸を含んでいるのでとても強力です。胃は粘膜を使っていつも胃酸に溶かされないようにしています。そのため、胃の粘膜に炎症が起こると消化する力も胃酸から守る力も弱くなって食べ物を消化できなくなります。

小腸はどんな事をしているの?

小腸とはそもそもどのような働きをしているのでしょうか。また、十二指腸とは何なのでしょうか。聞いたことがある人がほとんどでも、その詳細を知っている人は少ないのが腸の働きです。
小腸と一言にいってもたくさんの部位があり、十二指腸もそのひとつです。小腸の役割を一言で言うと「栄養を吸収する」事です。十二指腸には消化を助ける「膵液」「胆汁」などがあり、脂肪を溶かしたりタンパク質に分解したりするという重要な働きをしています。

ミニチュアシュナウザーの消化器

初めて家に迎えた時から頑張ってしつけるトイレ。いつもはちゃんとシートの上にやってくれるかどうかを気にする事がほとんどですが、一番大事なのは成功する事よりも健康である事です。どのような病気でも多くの場合、病状が進行すると便に現れます。その便は胃や腸をはじめとする消化器によって消化されて排泄されます。

たくさんの機能を使って食べ物を消化している

風邪などの一般的な病気になっても、胃や腸などの消化器にまで不調が及ぶ事がよくあります。消化器は体の機能の中でも重要な役割を担っているといえます。
消化器と一言にいってもいろいろなものがありますね。喉から食道を通過し胃に入り、幽門から外に出て十二指腸を通過、小腸を通った後に大腸、肛門と続きます。

ひとつでも不具合があると便の不調や嘔吐の原因に

たくさんある消化器の中でひとつでも不具合がおきてしまうと下痢になったり嘔吐してしまったりしますそのような場合にはさまざまな病気が考えられます。私達がすぐに判断するのは難しいですが、トリミングサロンでカットをしているトリマーさんなど、犬に関連した仕事をしている人はある程度の知識は身につけておくと、いざという時にお客様の役に立てるかもしれませんね。

普段から便のチェックは必須にしよう

また、ミニチュアシュナウザーを飼っていると、いちばん身近にあるのが便の不調や嘔吐です。食べ過ぎなどのちょっとして原因の場合もあれば、病気からくる消化器の不良まであるので、いつでも油断せずに様子を見ることが重要になります。

シュナウザーの泌尿器のしくみ

しつけをする際にメインとなるのはオシッコです。その尿が出るしくみまで考える人はほとんどいないですが、腎臓の病気などになると尿に影響が出てきます。あらかじめしくみを知っておくとすぐに異常個所に気づくだけでなく余計な心配をしなくて済みます。
また、シュナウザーをカットする仕事をしているトリマーさんであれば、そのような知識を得ていると、お客さんとの会話のネタにもなって一石二鳥ですね。

体に栄養を送る働きをしている腎臓

腎臓にはたくさんの血管があり、その中に糸球体という組織があって、毛細血管がたくさん入っています。そこを通った尿から体に必要な部分と不必要な部分に分けたりする働きも腎臓が担っています。つまり、腎臓が悪くなると必要な成分がカットされて体が吸収しなくなるということです。

不要な尿を外に出す膀胱・尿道

腎臓から出た尿は膀胱まで運ばれていくのですが、その間の管を輸尿管といいます。膀胱は尿を溜め込んでおく場所です。膀胱は量に応じて膨らむという機能を持っています。
最終的に「オシッコ」となる尿は、膀胱から尿道を通過して外に排出されます。尿道には細菌を防ぐための機能もあるので、ここに異常があると細菌が中に侵入してしまいます。

シュナウザーの腎臓のはたらき

泌尿器系の内蔵はいくつかありますが、そのメインとなるのが腎臓です。腎臓が悪くなると大変な事になるのは周知の事実ですが、そもそも腎臓のはたらきとはどのようなものでしょうか。また、悪くなるとどのような不具合が起こるのでしょうか。
トリミングサロンで勤めているトリマーさんであれば、お客様にどのような質問をされるか予想できません。このような豆知識を知っておくことは犬の専門家としての信頼に繋がります。是非覚えておきましょう。

体に不要なものが排出されなくなる腎臓の病気

腎臓は簡単に言うと、必要な栄養を取り込んで不要な分を尿として外に出す働きがメインです。腎臓に異常が出ると栄養が不足するだけでなく血液の成分にも影響が出ます。水分が体に行き届かないので脱水症状になる事もあります。
急性腎不全という言葉がありますが、これは腎臓が機能しなくなってしまう病気です。体に入った物質の中には有害なものがたくさん含まれているのですが、腎臓が機能しないとこれらを外に排出できなくなります。その結果、元気がなくなって食欲不振、さらには下痢や嘔吐なども見られるようになります。

体が衰えてしまうのですぐに処置が必要な腎不全

人間の腎不全とシュナウザーの腎不全は尿の量などの症状が若干違うようです。人間の医療に詳しい人でもこのあたりは注意が必要です。
急性腎不全になると犬は食欲がなくなって何も受け付けなくなります。当然ながらすぐに動物病院で治療や栄養補給をする事が重要です。

腎臓にある糸球体

尿を正常に出すためにいつも働いている腎臓。その中に糸球体というものがあります。よく耳にする「腎炎」というのは、その糸球体にある基底膜という膜に炎症が起こるものを言うこともあります。多くの場合はウイルスの感染や細菌によるもののようです。
細菌による感染の場合は自然治癒する場合が多いですが、混合ワクチンに含まれているようなウイルスに感染すると、免疫力が働きすぎて基底膜に炎症を起こす場合があります。

腎炎と腎不全は症状が似ている

腎臓にある糸球体が炎症を起こす原因はウイルスがほとんどですが、症状としては急性腎不全と似ているのが特徴です。腎不全と同様、尿の毒素が体外に排出されないために尿毒症などを引き起こす事があります。また、栄養を体が吸収できないために元気がなくなったり嘔吐をしたりする事もあります。
カットが仕事のトリマーで糸球体の事まで詳しく知っておく必要があるかどうかは疑問ですが、腎炎という病気に糸球体が絡んでいる事が多いという位は知っておいてもいいでしょう。

また、腎臓と尿がみっせつな関係があるという事は、犬の仕事をするトリマーであれば知っておきたいものです。

シュナウザーの生殖器のしくみ

生殖器とは、言わずと知れた繁殖のために必要不可欠な体の一部です。人間と同じように犬のメスには卵巣や子宮などがあり、それぞれが役割を勤めて子孫を繁栄させます。生殖器が病気になると、子供が産めなくなったり健康に被害が及んでしまいますが、その部位によって症状なども違います。

ミニチュアシュナウザーの女の子

女の子の場合は、卵巣・子宮・膣からなっています。卵巣は2つあり、子宮は子宮格・子宮体・子宮頸という部分を持っていて、膣まで続きている形状です。
子宮は非常に病気が多い箇所なので、近年では病気を防ぐために避妊手術でカット(除去)することが多くなりました。
犬は人間と違って繁殖期が限られている動物で、半年に1回位のペースで訪れます。出血が見られる期間は20前後ありますが、そのうちの1週間くらいが実質的な発情期と言われています。

前立腺の病気を防ぐために

男の子の場合は人間同様ペニスと睾丸があり、副生殖器として前立腺を持っています。前立腺の病気はよく耳にするところです。この前立腺は精液をつくりだす働きをしているので、去勢することによって病気を防ぐことができます。
カットにくるミニチュアシュナウザーの飼い主も、去勢や避妊については賛否両論あることでしょう。トリマーとして自分の意見を言うのも大事ですが、正しい知識をもったうえで話すと説得力が高まりますね。

シュナウザーの脳と神経

犬が動いたり考えたりするのは、脳に送られた情報が、各神経に動かしたり考えたりする命令を出すことによって成り立っています。食事をするのも飼い主と一緒に散歩をするのもカットやシャンプーをしている時に大人しくするのも、全ては脳が正常に機能して各神経に命令をしているからです。

神経系の主役である「脳」

脳は、神経系のひとつとして分類されています。神経系には、大脳と小脳の他、脊髄、更には末梢神経も含まれます。大脳が感覚をつかみとり、小脳が各神経に命令を伝達しているようなイメージです。
小脳から出された命令は、脊椎の中にある脊髄を通って各末梢神経に伝えられていきます。神経系の病気というと、こちらの末梢神経を言うことが多いようですが、脳に異常があっても神経の異常のように見られる事もあります。

頭はデリケートな場所なので丁寧に扱おう

普段活発に動いているミニチュアシュナウザーがいつもと違う動きをしている場合、まずは怪我が疑われますが、もし外傷がどこにもない場合は神経または脳が疑われます。しかし、脳の障害はなかなか見分けがつきにくく判断も難しいようです。
犬の脳は人間と比べて頭蓋骨が丈夫ではないので、頭部はいつも丁寧に扱わないといけません。トリマーの方も、カットをした後シャンプーをする際に思わず指に力が入ってしまわないように気をつけましょう。

シュナウザーの遺伝と脳

犬は、自身がなりやすい病気を子供に受け継ぐ可能性がとても高い動物です。その病気は多種多様ですが、脳におこる病気の中にも遺伝によるものがあると思われています。ミニチュアシュナウザーではそれほど多くはないものの、てんかんはその代表格といえるでしょう。

てんかんが発生した時のマニュアルをつくっておこう

人間でも子供のよく見られる「てんかん」は、体が急に硬直して機能が麻痺してしまう症状です。発作的に起こるので前兆もなく、飼い主はかなりビックリして動転してしまいます。
多くの場合は数十秒で治まって、また普通の状態に戻るようですが、希に連続で起こす事もあるようです。
もしトリミングサロンでカット中に犬がてんかんをおこしたら大変です。このような事態もないとは言えないので、各お店でマニュアルなどを作って対処をする心構えを統一しておきましょう。

脳に栄養が届かない時に引き起こる

てんかんの原因は、大脳にあるニューロンという神経細胞に障害が起きた時に引き起こるものと考えられています。障害が起きる原因としては、脳の病気や奇形、損傷などが確認されています。また、脳の病気以外でも、肝臓や腎臓の疾患、さらには低血糖症などが原因による事もあるようです。脳へ十分な栄養素が運ばれない時に引き起こるというのは全ての症状で共通しているようです。
ミニチュアシュナウザーでは多く見られませんが、小型犬ではトイプードルやミニチュアダックスに見られることがあるようです。大切なお客様の家族を預かってカットをするトリマーとしては、そのような事もある事を知っておき、いざという場合に慌てないようにする事が肝心です。