マルチーズの体温と平熱
すぐに測れる耳用の体温計
「動くから測りづらい」と思う方には「耳体温計」をお勧めします。肛門で測るタイプよりは高価ですが、衛生的にも安全で瞬時に体温を測れるので何かと便利です。
いつもより元気がないな、と感じたらすぐに耳にあてて測れるので、ちょっとした事で病気が発見できる時もあります。愛犬の健康管理をする上で体温計は欠かせない物と言ってもいいでしょう。
マルチーズが頻繁にトイレに行く時は
水を飲んだらたくさん出るのは当たり前ですが、何度も頻繁にトイレに行っていると感じた時は注意が必要です。トリミングサロンでカットしている時や動物病院で普段オシッコをしない子が頻繁にトイレに行きたいポーズを取る時も同様です。
何日も続く場合は危険信号
尿の回数が多くなる病気のひとつに子宮蓄膿症があります。女の子で避妊手術をしていない子の場合によくある症状なので注意しましょう。
腎臓に何か異常がある時も、尿の回数が多くなる事があります。その他にも糖尿病など、年齢を重ねると起こりやすくなる病気が多いので、シニアのマルチーズを飼っている人は気をつけるようにしましょう。
特に注意したい事
何度もトイレに行っている場合でも、色がいつもと同じであれば上記のような症状が心配される程度ですが、血が混じっている時はかなり危険です。
膀胱近くに何か傷がある場合や結石がある時に血が出る事もありますが、中毒症状などによって体の中から血が出ているという可能性もあります。少しでも尿からの出血が見られた場合はすぐに動物病院で獣医師に診せるようにしてください。
マルチーズの呼吸チェック
犬の体調管理のバロメーターとして、普段と同じ呼吸をしているかどうか、というのがあります。運動の後は早くて大きな呼吸をするのが一般的ですが、家でのんびりしている時に荒くなっている時は注意が必要になります。
何もしないのに速くて浅い呼吸をする時は
感情豊かなマルチーズは、興奮したり緊張したりしても呼吸が速くなることがあります。初めてのトリミングサロンでのカットをする時は、ほとんどの場合緊張して口を開けたままになっています。
そのような状況でもないのに速くて浅い呼吸をしている場合は、病気になっている可能性があります。途中で咳をしているなら更に危険です。
犬によく見られる病気のひとつに「気管虚脱」というのがありますが、この病気は、て咳が多くなるというのが特徴です。特に夜になると咳き込むので、もしこのような症状が見られたらすぐに動物病院に行くようにしましょう。
重症になる前に手を打とう
また、咳が何日も続くようなら呼吸器に障害があるかもしれません。もし痰が絡んでいるような咳をする場合は、気管支炎になっている可能性もあります。また、肺に何らかの病気を抱えているかもしれません。
放っておくと肺炎などの重い病気に発展する恐れがあるのでできるだけ早く獣医師に診せるようにしてください。
震えている時は
人間が震えるタイミングは、寒い時、怖い時などが挙げられますが、犬も同様に震えます。特に、普段は飼い主に守られているマルチーズなどの室内犬の場合、外の知らない場所に行っただけで震える事もよくあります。
ペットショップで抱っこをさせてもらうと多くの場合は怖くて震えています。また、トリミングサロンで初めてカットする時もほとんどの子は震えています。
寒い時に震えるのも普通の現象
怖い時や不安な時だけでなく、寒い時も人と同じように震えます。白いコートで寒さに強そうなマルチーズですが、室内犬になって相当な年月が経ち、人間と一緒に住むのが当たり前となった昨今の犬は寒さにそれほど強くありません。
そもそも、寒いと震えるのは何故なのでしょうか?これは、体を細かく動かす事によって体温を上昇させようとしているのです。ですので、寒い時に震えるのは体を守るための自然な現象といえます。
なかなか震えが直らない時は注意
このように、マルチーズなどの室内犬が震えるのは決して珍しい事ではありませんが、アレルギーや中毒などによるショック症状で痙攣する時はかなり危険なので注意してください。
気持ちや寒さの問題で震えている時は、温めて抱っこをしたり優しい言葉をかけてあげるとすぐに直りますが、それでも全然変わらない時は危険です。大至急獣医師に診せるようにしてください。
歩様に異常があるときは
いつも元気よく歩き回ったり走ったりしていたマルチーズが突然片足を引きずったり持ち上げたりして歩いている時は、棘やガラスの破片などが足の裏に刺さっている可能性があります。
また、何らかの危険物を踏みつけて足をカットして血が出ているかもしれません。すぐに足の裏を調べてあげましょう。
足の裏に何かが刺さっている事も
トリミングやカットでも楽しめる小型犬のマルチーズは見た目の可愛さが魅力の愛玩犬ですが、小さいながらも元気に走る犬種なので足の裏を怪我することもよくあります。自分である程度応急処置ができるように、動物病院で手当の仕方を聞いておくといいでしょう。
もし足の裏に何かが刺さっている時は、中に入ったままにならないように丁寧に抜き、すぐに消毒してあげましょう。傷が浅い場合は数日で治りますが、深い場合や出血が止まらない時は縫合しなければなりません。
出血が止まらない場合はかなり危険なので、すぐに病院に行く必要があります。夜間でも対応している病院は常にピックアップしておくようにしてください。
運動や遊んだ後であれば骨の異常かも
足の裏に傷がないにも関わらず足を引きずったりしている場合は、関節・骨の異常が考えられます。最悪の場合、骨折をしている事もあります。
このような事はドッグランや散歩中に起こるのが多いですが、運動もしていないのに突然足に異常が出た場合は、先天的な股関節の形成異常が出てきたという可能性もあります。
マルチーズが飲む水の量チェック
犬はとてもよく水を飲みます。とくに、ドライタイプのドッグフードを食べている子の場合は尚更です。また、散歩やドッグランでたっぷり遊んだ後、トリミングサロンなどでカットをした後、動物病院から帰ってきた後などにもたくさん水を補給するでしょう。
運動もしていないのにガバガバ飲む
水を飲む量は犬によってまちまちですが、マルチーズを飼っている飼い主なら、その子がいつもどれ位の量やペースで水を飲んでいるかを把握してく事が重要です。
もし、運動後やお出かけから帰った後でもないのに大量に水を飲んでいる場合は、病気の可能性があります。考えられるのは、ホルモンの分泌に何らかの異常が発生している、糖尿病の前兆、泌尿器系の病気などです。念のため動物病院で診てもらうのがいいでしょう。
女の子で避妊手術をしていない子の場合は子宮蓄膿症になる事がありますが、この症状が出ている時も水分を欲しがるようになります。
お腹を下している時も水分が不足しがち
下痢をしている時も水をたくさん欲しがります。一番重要なのは下痢の原因を突き止める事ですが、水が悪くて便が柔らかくなっている事もあります。
こんな場合は放っておくと危険です。動物病院では点滴もしてもらえるので、脱水症状が出る前に連れていく事をおすすめします。
水分補給に気を配ろう
犬の体の組織には体液が多く含まれていますが、そのほとんどは水分です。その水にはさまざまな栄養素が含まれています。ですので、体液が少なくなるという事は栄養素も減るという事になります。脱水症状という状態は、単に「体の水分が少ない」という話ではないという事ですね。
どこに行く時も水分は補給できるように
水は常に補給できるようにしておかなければなりません。初めてマルチーズを飼うときは、犬用の家やカット用のはさみなどのトリミングセットに加えて家に取り付けるタイプの給水器を買っておきましょう。
また、お出かけ用のペットボトルも常に用意しておく事が重要です。いつでも水を飲めるようにスタンバイしておきましょう。
暑くて狭い部屋に閉じ込めない
脱水症状は、発熱が続いたり、下痢などで体の水分が奪われたり、暑くて狭い部屋に長時間いる時によく起こります。夏などの暑い日に車の中に閉じ込めないようにしましょう。
脱水症状の特徴は、皮膚の弾力性がなくなって、普段濡れている口や鼻、目などに水分が見られなくなってきます。さらに症状が進むと、意識が遠くなって動きが鈍くなります。こうなるとかなり危険です。
症状が軽いうちは、スポーツドリンクを飲ませると症状が良くなることがありますが、症状が重くなってから水を飲ませるとかえって危ない場合もあります。緊急の場合は行きつけの動物病院に電話するのがいいでしょう。
マルチーズの体重変化
容姿が素晴らしいマルチーズは、太ったり痩せたりすると結構目立ってしまいますね。その太り方や痩せ方が単なる食事の量と運動量のバランスの悪さが原因であれば、その量を調整するだけで戻るので問題はありませんが、食欲がなくて食べずに痩せているなら病気の可能性が高くなります。
同じトリミングサロンで定期的にカットするメリット
体が痩せていく病気は内臓系がほとんどです。心臓病・肝臓病・腎臓病・胃腸の病気全てにおいて体重の低下が見られるのが普通です。この場合、食欲は落ちていないのに体重が減っていく場合もあります。
多くの場合は元気がなくなってきますが、慢性の場合は少しずつ元気がなくなっていくので飼い主が気づかない事もあります。
もし同じトリミングサロンに1ヶ月に1度のペースで行っているようであれば、「元気がないですね」と言われて初めて気が付く事もあります。このような事もあるので、カットは定期的に同じトリマーにしてもらうのが上手に健康管理をするポイントです。
運動不足が原因で肥満や病気になる事も
逆に太っていく病気もあります。特に、お腹だけ出てきた場合は注意が必要です。副腎に異常があると水を欲してお腹が膨れていく事があります。
栄養が偏っていたり食べる量が多すぎて太る場合の多くは運動不足も原因となっています。肥満は病気だけでなく足腰への負担も大きくなります。毎日散歩をし、時間があれば公園やドッグランで遊ぶようにしましょう。
お口を清潔にして歯垢を予防
口の匂いは健康のバロメーターであると同時に、飼い主が口のケアをきちんとしているかどうかが分かるポイントでもあります。マルチーズの歯も人間同様歯垢や歯石がついて歯肉炎や歯周病になるので、普段から歯や歯茎のケアをする事はとても大切です。
歯茎と歯を清潔に
犬は人間と違って自分の口臭を気にしないので遠慮なしに息を吹きかけてきます。飼い主であれば多少の口臭は気になりませんが、トリミングサロンでカットする時に強い口臭があるのは考えものです。また、あまりにも強い場合には病気になっている可能性もあります。
口臭の主な原因は食べかすが残った事によって細菌が繁殖し、匂いの強い酸化物が出てくる事ですが、この酸化物は放置しておくと歯茎など口の組織を破壊していきます。それが歯周病となり、口臭はさらに強くなっていきます。
ケアをしている場合でも
毎日歯のケアをして歯茎も綺麗なマルチーズに口臭がある場合は、病気の可能性が出てきます。消化器・胃腸に異常がある場合に口臭が発生する場合もありますし、その他糖尿病・感染症などを患っている場合にも出る事があります。
トリミングサロンでトリマーさんがカットしていて口臭を感じても「口が臭います」とはなかなか言えません。口臭から分かる歯や内臓の病気は飼い主しか発見できないという事を覚えておきましょう。
肥満予防でマルチーズの綺麗なスタイルを維持しよう
白くて可憐な外見が魅力のマルチーズですが、肥満になってしまっては魅力も半減です。また、そればかりか、肥満になると病気になるリスクは増え、足腰や関節・心臓への負担も強くなります。そして、肥満になる原因は多くの場合飼い主にあります。
スタイルをキープするのは飼い主の義務
人間の肥満は、自分の管理が不足しているのも一因となりますが、犬の場合は「スタイルを維持しよう」「太らないようにしよう」などと考える事はありません。カロリーの計算をしながら食事をする犬も存在しません。
犬も人間同様「満腹中枢」という機能が必要以上食べる事を抑制するので、体に必要な量を超えると食べるのをやめるのが普通ですが、マルチーズなど近来の愛玩犬は人間に与えられて食べてきたので、与えられた分全てをお腹に入れてしまう子も大勢います。
現代の犬は、自分で食べる量をコントロールする事は難しいようになっています。また、野生の頃と比べると運動量もかなり少なくなっています。肥満を防ぐのは飼い主の役割という事を忘れないようにしましょう。
太りやすい時期にはたっぷりと運動を
マルチーズに同じ量を与え続けて散歩も毎日しているのに、カットをしているトリミングサロンや動物病院で「太りましたね」と言われる経験がある方がいると思います。これはなぜでしょうか。
犬は、2歳を過ぎたあたりから6歳位までが「太りやすい年齢」と言われています。ですので、この時期にたっぷりと運動をしないと、脂肪がそのまま吸収されてしまう可能性が高くなります。食事を減らすのは良くないので、運動量を増やすことを心がけましょう。
避妊とマルチーズの運動量の関係
女の子の場合、一般的に避妊手術をすると太りやすいと言われるのは食欲を抑える作用のある女性ホルモンが減少し、また、代謝率も落ちるのが原因と言われています。避妊すると運動する事を嫌がるという説もありますが、これはその犬によって違うので信ぴょう性はありません。
散歩が好きになるように努力しよう
避妊手術をしたら運動を嫌がるという先入観は良くありません。飼い主が「避妊手術したから散歩が好きじゃないんだよね」などと、自分がサボる言い訳にもなるからです。マルチーズは男の子・女の子問わず、また、避妊・去勢手術をしているか否かも問わず運動が好きで必要です。
散歩を嫌がる場合は、その場所が好きではない場合があります。自動車の音が苦手なのかもしれません。場所を変えたり引っ越したりして運動が好きになれるように工夫してあげましょう。
待合時間にたっぷり遊べるお店を選ぶのも効果的
トリミングサロンでカットするのを楽しみにさせるのも、お出かけが嫌いなマルチーズには有効な方法です。もしトリミングサロンに行くのが嫌いだとすれば、お店の中で狭いケースに入るのが苦手でお出かけが苦手になっているのかもしれません。
そんな子の場合、たくさんワンちゃんがいたり、ドッグランがあってたっぷり遊べるようなお店を選ぶのがおすすめです。カットやシャンプーの前後の待合時間に遊ばせてくれるお店に替えてみましょう。