目薬の役割を知っておこう

大きくてうるうるした魅力的な目が魅力のワンちゃんですが、大きいうえに粘膜も露出しているので傷がつきやすく、さらには細菌も侵入しやすいしくみになっているので、ベテランの飼い主が細心の注意を払っていても角膜炎などの眼病になってしまう事があります。
また、犬に多い目の病気に白内障も挙げられます。こちらは老齢になるとよく見られる病気で、現在では完治できる薬や開発されていません。少しでも進行を遅くさせるための処置をする事になるでしょう。
トリマーとして気をつけたいのは、白内障でも初期の子は見た目でそれほどわからないので気がつかないことがあります。カットの前に飼い主にワンちゃんの体について注意点がないかどうか聞く癖をつけましょう。

点眼薬と軟膏が主流

犬に使われる目の薬は、人間と同様眼球に直接差すタイプの点眼薬と軟膏があります。点眼タイプは楽に使用できますが、人間であれば薬を入れて自分で中に閉じ込める事ができますが、犬はそう簡単にはいきません。涙も多いのですぐ外に出たりするので効果は人間程ではないといえます。
犬につけると舐めてしまってあまり使用しない軟膏ですが、目につける軟膏はさすがに舐める事ができないので効果的です。ただ、視界が悪くなるので寝る前に使用するのが一般的なようです。

注射や内服薬を使用する場合も

また、可哀そうな話ですが、注射によって注入する薬もあります。こちらは、外部から届かない患部を治療する際に行われます。また、目の病気が体の内部からの影響で来る場合は飲み薬を処方する事になります。
いずれにせよ、目の病気は素人では判断はできません。自分で考えずにまずは動物病院に連れていき、その指示に従うようにしましょう。

目の炎症を抑えるために与える抗生物質

犬はよく角膜炎・結膜炎などの目の病気になってしまいます。その原因はさまざまですが、多くの場合は細菌の感染によるものが多いようです。細菌には抗生物質が効果的なので、動物病院で処方される薬もそうなりますが、細菌の種類を限定しないタイプの広域スペクトラム抗生物質がよく用いられます。また、何種類かに絞れる場合は配合して処方する事もあります。

広域のテトラサイクリンと増殖を防ぐベータラクタム系

広域スペクトラムと呼ばれる抗生物質には、テトラサイクリン系の薬があります。多くの細菌に対して効果が確認されており、毒性も強くないと言われています。また、細菌だけでなくマイコプラズマにも有効で、いろいろな場面で処方されています。
このほか目の薬として使用される抗生物質には、安全性が比較的高いとされるベータラクタム系のペニシリンがよく使われます。この薬は細菌の細胞壁を合成させないようにし、増殖を防ぐ効果があります。細菌を殺すというより増やさないように作用するので即効性は高くありません。

抗生物質に詳しくなっておく

抗生物質は獣医師の判断で処方する事になりますが、毒性の強さやその特性を知っておく事は犬を飼っている人はもちろん、普段からカットなど犬に関連する仕事などをしている人にも重要です。トリミングサロンに一人でも薬や病気の知識が豊富なら何かと助かりますね。

犬に与える抗生物質とよく似た合成抗菌薬

抗生物質は微生物がつくった物質を利用して薬にしたものですが、これと似たもので合成抗菌薬というのがあります。こちらは微生物ではなく化学的に合成したもので、サルファ剤が有名です。最近ではキノロン系薬というのもよく使われるようになりました。

定番のサルファ剤とキノロン系

サルファ剤という合成抗菌薬は、さまざまな種類の細菌に対して有効で、犬やその他の動物全般に寄生する虫にも効果があります。ちなみにサルファ剤というのは種類の事で薬の名前ではありません。
もうひとつの合成抗菌薬としてキノロン系の薬がよく使用されるようになりました。こちらも多くの細菌に対して効き目があり、抗菌力が強いとされています。
どちらを使用するかはその動物病院の獣医師にの判断や見解によるので、なぜそちらを選ぶのか聞いてみると良いかもしれません。

抗生物質との違いを知っておこう

文抗生物質と合成抗菌薬は素人では違いがよくわからず、どちらも抗生物質の一種と思っている方も多いかもしれません。犬のカットやシャンプーだけでなく犬の薬に関してもプロ級の知識を持っていれば、トリマーとしてのスキルも高く見えるかもしれませんね。

症状に合わせて使用する目の薬

角膜炎などの炎症系の目の病気になった場合、いくつかの薬が同時に処方されるのが一般的です。それには炎症を抑えるための抗炎症薬、細菌を殺したり増やすのを阻止する抗生物質、アレルギー性の場合であればそれに対応した抗ヒスタミンなどの薬、結膜炎を治療する収れん薬などが挙げられます。
獣医師でない限り詳しく知っておく必要はありませんが、犬を飼っている人やカットを仕事にしているトリマーでも、目に効く薬には症状によって種類がある事を認識しておく事は重要です。

抗生物質と抗炎症薬それぞれの効能

細菌による目の炎症の場合は抗生物質と抗炎症薬を処方される事が一般的です。抗炎症薬は効き目が強いのがほとんどですが、その分危険性が高く、また、炎症を鎮める以外に効果がないので根本的な治癒は他の薬に頼る事になります。あくまでも炎症を鎮めるための薬と思った方がいいでしょう。
抗生物質は、細菌が原因となっている結膜炎や角膜炎には効果的で、ほとんどの場合に使用されます。こちらの場合は炎症をすぐに抑えるという即効性はありません。
抗生物質と抗炎症薬はお互いに一長一短なので、不足分を補うためにどちらも処方されるのが一般的です。

アレルギーの目の炎症には抗ヒスタミン薬などが使われる

目の炎症がアレルギーによるものと判断された場合はほとんどの場合抗生物質は使用しません。ただ、二次感染を阻止するために使用する事があるようです。
アレルギー性結膜炎によく使用されているのは抗ヒスタミン薬で、炎症の原因となるヒスタミンの過剰な反応を抑える効果があります。
この他、結膜炎を抑えながら組織を復活させていく薬として収れん薬というのがあります。こちらはじっくりと効いていくので慢性の目の病気に効果的とされています。