ポメラニアンのホルモンのはたらき

ホルモンの分泌量の安定は健康の条件

ホルモンの分泌量は、その成長に合わせてほぼ一定を保っているのが正常ですが、急に変化してしまうと体に悪影響を及ぼす事があります。
綺麗な毛が魅力でカットスタイルを存分に楽しめるポメラニアンですが、子犬に成長ホルモンの分泌量不足が見られがちです。これが少ないと毛が生えてこなかったり脱毛する事があるようです。
ペットショップで売っているときは毛があったのに、飼ってから毛が抜けてしまう、という事態が起こった時のために、ポメラニアンを買うお店であらかじめ相談しておくといいでしょう。

分泌が不足すると何らかの影響は必須

ホルモンは、冬や夏でも体温を常に一定に保てるような働きや、男の子であれば男の子としての成長を促し、女の子であれば女の子として成長させるサポートをします。さらに、代謝にも関係しているので、栄養を体に取り込む際にホルモンが不足していると、その不足している部分に影響が出てきます。

ホルモンを正常に保とう

ホルモンバランスが崩れるとさまざまな病気になります。なかでも糖尿病はよく耳にする病気です。糖尿病の状態が長く続くと血液中に糖分だけでなくケトン体という物質も増え、体に害を及ぼします。糖尿病を悪化させないようにきちんと治療や食生活を改善する事が大切です。

ケトン体という物質

ポメラニアンをカットするための知識ではありませんが、トリマーとして犬の糖尿病のことについて詳しく知っておくのも大事です。
ケトン体という物質は、脂肪が分解される途中にできる物質です。糖尿病を患っているとインスリンが不足するので脂肪が分解されやすくなります。そのため、長期間治療をしないで放置するとこの物質が増えていきます。

ケトン体を減らさないと糖尿病の治療に集中できない

血糖値を調べるのは尿の検査が一般的ですが、この際にこのケトン体が大量に検出される事があります。糖尿病が悪化したこの症状を「ケトアシドーシス」と呼んでいます。
ケトン体を減らすための治療を継続的に続け、何度も検査を繰り返す事になります。このケトン体が減ることでようやく糖尿病の治療に戻れます。

ホルモンが不足すると

ホルモンは体のいろいろな所から分泌されていますが、そのなかでも「副腎皮質」から分泌されるホルモンが不足するケースが多いようです。副腎に腫瘍や出血などの異常がある場合にそのリスクが高まりますが、希にストレスから発症する事もあります。
同じ副腎のホルモンバランス異常の病気でクッシング症候群というのがありますが、これはホルモンが分泌されすぎた事によるもので、ホルモンが不足した場合はアジソン病といって区別しています。いずれの場合も元気がなくなるのが特徴です。

尿の出る量もホルモンが絡んでいる

その他のホルモン不足による症状としては、尿を抑制するホルモンが挙げられます。ポメラニアンなど犬には抗利尿ホルモンというのがあり、尿の排出を抑制するはたらきをしていますが、このホルモンの分泌量が減ってしまうと、尿がどんどん出続けてしまって水をひっきりなしに飲み続けます。
ただ、尿を大量にするのは色々な病気の症状でもあるので、単にホルモンの異常では片付けられません。原因のひとつとして知っておくといいでしょう。
カットのお客様のポメラニアンが「オシッコばかりするんだよね」と言われたら「ホルモンのバランスが崩れているかもしれませんよ」とでも言っておけば、印象アップ間違いなしです。

高齢犬に多く見られるクッシング症候群

ホルモンの異常による病気は高齢の犬に比較的多く見られますが、ポメラニアンの場合も例外ではありません。糖を体に代謝させるために働いている副腎皮質ホルモンというホルモンが異常に多く分泌される事があります。これをクッシング症候群といいます。

お腹が妙に出ていて水を異常に欲しがったら

症状は糖尿病に似ていて、元気がなくなることが多いようです。その他には水の飲む量が増えてお腹がタプタプになったりする事があります。そんな時は動物病院で検査してもらいましょう。
とくに高齢犬に多いようなので、もし高齢のポメラニアンをカットしていておなかが妙に出ていて水ばかり欲しがっていたら、飼い主にこの病気を教えてあげるといいかもしれません。

ステロイドが原因の場合も

クッシング症候群は、原因が他の病気の治療という事もあるようです。治療で使用されるステロイド薬の副作用として発症した事も確認されています。
また、歳を取るにつれて起こりやすい病気なので、もし過去にホルモンの異常などがあったポメラニアンは、この病気を防ぐためにも定期的に検診をする事をおすすめします。

ホルモンの分泌とは

トリマーは獣医師ではないのでホルモンの分泌する場所を全て知っておく必要もありませんが、カットのお客様との話題としてひとつでも知っておくとタメになります。いろいろと調べてみましょう。
ホルモンは内分泌腺から分泌されます。その種類もさまざまで、脳・甲状腺・副腎・精巣・卵巣などが有名です。

とても重要な脳下垂体

脳は正確に言うと脳下垂体に内分泌腺があります。とても重要な成長ホルモンはここから分泌されています。尿の量に関するホルモンも脳にあり、脳下垂体にあるホルモンは、その他の場所から分泌されているホルモンとも密接に関係しています。
どの内分秘腺も非常に重要ですが、この脳下垂体にあるのはメインともいえる内分秘腺ばかりで、ひとつでも分泌量に異常があると元気がなくなったり脱毛が見られたりします。

アドレナリンとアンドロゲンも知っておこう

よく聞く言葉で「アドレナリン」というのがありますが、これもホルモンと関連しています。アドレナリンは副腎から分泌されるホルモンで、脈拍と密接に関連しています。「アドレナリンが上がる」のは、脈拍数が増えて興奮状態になるという事ですね。
また、去勢手術をしていない男の子はアンドロゲンというホルモンを分泌しています。去勢するとマーキングをしなくなるのはこういった男の子特有のホルモンが分泌されなくなるからと言われています。カットのお客様への豆知識として知っておきましょう。