ミニチュアシュナウザーの膵臓を守る
膵臓は、食べた物の栄養を吸収する役割を果たしています。この機能の働きが悪くなると、栄養を吸収できない事によってみるみる痩せていきます。ただ、腸がきちんと機能をしていると便は大量にでてきます。食欲が旺盛で便にも一見異常がないので発見が遅れることがある病気といえます。
食欲があるのに痩せていく
膵臓の病気には膵炎がありますが、ミニチュアシュナウザーに多いのは膵臓の内分泌に起こる膵炎よりも外に起こる「膵外分泌不全」が多いようです。これは、膵臓に不具合が起きて消化不良になってしまう病気です。
消化不良になっているので栄養が体に行き届かず、組織が形成されなくなってシュナウザーは日に日に痩せていきます。トリマーの方でもしシュナウザーのカットのお客様が「食欲は凄いんだけど痩せてくる」なんて事を言ってきたら、この病気のことを言ってあげるといいでしょう。すぐに動物病院まで検査に行くはずです。
なかなか治らない膵臓の病気
動物病院では、食事療法を取ることが多いようです。膵臓には酵素が必要なので、それを補います。また、症状や原因によっても違いますが、抗生物質を使用する事もあります。
いずれにしても、完治するまで時間がかかる事が多いので、根気よく治療をしていく事が重要になります。
腎臓を守る
人間でも同じですが、腎臓という箇所は、さまざまな病気の種類があります。原因や初期症状も色々ありますが、最終的に怖い症状は「腎不全」という、腎臓が機能しなくなってしまう状態です。そうなる前に治療をしてまた犬を元気にしてあげましょう。
慢性の腎臓病が見つかった時は進行している事が多い
腎不全と一口に言っても急性・慢性に分かれます。また、腎前性・腎後性にも分ける事ができます。急性の場合は腎臓だけでなく他の機能も同時に障害が起こることが多いようです。そのため、あっという間に進行してしまうことがあります。また、犬がとても苦しがるので発見も早いのが特徴です。
それに対して慢性の腎不全の場合は、他の機能は正常な状態で腎臓だけ悪くなっていくので発見が遅れる事が多いようです。見つかった時には腎臓がかなり深刻な状態になっている事が少なくありません。
定期検診で少しでも早期発見を
急性の場合は普段から気をつけていても予防する事は難しいですが、慢性であれば定期検診での早期発見が可能な場合があります。
一般のシュナウザーの飼い主はもちろん、カットをしているトリマーなど犬に関する仕事をしている人あっても気が付きにくい腎臓の病気。ペット保険などを使ってなるべく多く動物病院で検査をしてもらう事が唯一の予防方法といえるかもしれません。
腎臓を健康に保つために
腎臓にはさまざまな病気の種類があり、それぞれ症状も若干違います。ミニチュアシュナウザーなどをカットするのが仕事のトリマーがそこまで知る必要もありませんが、知っていると何かと役に立ちます。お客様のワンちゃんの異常にも早く気がついて早期発見ができるかもしれません。発見が難しいといわれる腎臓の病気について知っておきましょう。
腎臓の病気にもいろいろある
犬の腎臓の病気で有名なのは腎不全や腎炎ですが、その他にも、輸尿管や腎盂に障害が発生して起こる水腎症、間質という組織に炎症が起こる間質性腎炎、その腎盂に結石ができてしまう腎結石、炎症が起こる腎盂腎炎などもあります。また、糸球体に原因があるといわれるネフローゼ症候群も腎臓系の病気です。
尿と腎臓の関係などを知っておこう
シュナウザーなど犬をカットして生計を立てているトリマーとしては、犬の腎臓のはたらきと病気の種類はある程度知っておいたほうがいいでしょう。
オシッコに血が混じったりしていた時には腎臓系の病気が疑われます。腎臓から尿道までの尿が通る組織について詳しくしっていれば、お客様からの信頼も厚くなるに違いありません。
尿の回数が異常と思ったら
いつもと比べて水の減りが異常に速かったり、オシッコを少しずつ何度もしていたり、出ないのにオシッコをしようとしている時は膀胱の異常が疑われます。膀胱の病気には、膀胱に炎症を起こす「膀胱炎」や膀胱結石、尿道結石などがあります。
膀胱炎は比較的女の子に多い病気?
よく聞く膀胱炎とは、その名のとおり、尿を貯めて置くための組織「膀胱」に炎症が起こる病気です。多くの内蔵の炎症では同時に発熱や嘔吐などが見られますが、膀胱炎でも同様で、急性であれば突然元気がなくなって発熱も発症します。しきりに水分を欲しがるのも特徴です。
原因の多くは細菌で、尿道を通って膀胱まで来た細菌が繁殖して炎症の原因となるようです。尿道の大きさは女の子の方が広いのでどちらかというと女の子に比較的多く見られます。女の子のミニチュアシュナウザーがカットで訪れてオシッコの話でもした場合に軽く言ってあげると「できる」トリマーに見られるかもしれませんね。
残尿感を覚えるのでトイレに行きたがる
膀胱炎になると頻繁に尿を催すようになります。時には残尿感のあまり、出ないにもかかわらずトイレでクルクル回っている事もあります。これが頻繁に見られたら膀胱炎または膀胱に何か異常があると見るのがいいでしょう。当然、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
抗生物質のことも知っておこう
人間でもよく処方される抗生物質ですが、動物病院で治療をしてもらった後にもよく手渡されます。ほとんどの人は獣医師が出してくれた薬だと思って信用して処方させますが、そもそも抗生物質とはどのような効き目があるのでしょうか。また、危険と言われる事もありますが、それはなぜでしょうか。犬関連の仕事をしている人やシュナウザーなどをカットしているトリマーさんであれば知っておきたい知識です。
細菌をやっつける生命体の物質
まず、抗生物質の正体は何でしょう。物質というからには何かの化合物なのは分かりますが、微生物が作り出す化学物質が抗生物質です。微生物が他の微生物をやっつけるというイメージでしょうか。当然、知識がなく間違った抗生物質を投与すると治らないどころか副作用などの可能性も高くなります。
現在ではかなり多くの抗生物質が出回っているので、犬の病気でも数多く使われています。しかし、いつもワクチンを注射したり飲んだりしている伝染病には効果がありません。
それは、抗生物質が「細菌を殺す薬」であって、ウイルスには効果がないからです。
細菌とウイルスの違いは?
細菌とワクチンて何が違うの?と疑問を持つ方が多いでしょう。トリマーとしてはこの辺の知識はトリミングサロンなどにカットに来たお客様に聞かれた時のために知っておきたい知識です。
細菌は、自分で繁殖ができる生命体です。それに対してウイルスは体を持たないので、何らかの細胞に住み着いて増殖します。すなわち、ウイルスを殺す=細胞を破壊する事になります。
抗生物質は細菌をやっつけるので、体に必要な細胞はそのままです。ですがもしウイルスをやっつける抗生物質があるとすれば、投与するとミニチュアシュナウザーの細胞ごと殺す事になってしまいます。