トリミングサロンの開業場所はどうやって決める?

世帯数・伸び率・犬の保有率・競合店

候補地は、できれば4~5つは考えておきたいところです。「どうしてもあの町でお店を出したい」と思っているとしても、他の場所と比べる事で客観的に考える事が可能になります。
比べる項目としては、その候補地の世帯数と犬の保有率、競合のサロンなどです。最低でもこの3つは数字で具体化しておく必要があります。
また、世帯数に関しては、昨年や一昨年の数も調べてどの程度伸びているか、または減っているかを調べましょう。当然ながら伸びている場所は穴場になります。

客観的な数字と自分の目で見た主観を組み合わせよう

犬の保有率は、狂犬病の登録数を調べるとおおよその数字が出てきます。いちばん理想なのはカットが必要な犬の登録数を調べる事ですが、役所ではちょっとわかりません。そこは自分の足で調べるしかありませんね。
今日後のトリミングサロンの数も重要です。トリミングファンなどの検索サイトであれば大体のお店はわかりますが、小さなお店でひっそりと営業している所もあります。色々なサイトを検索して調べてみましょう。
一番大事なのは、時間を設けて自分の目で確かめる事です。
自分で歩く事によって、どのような犬を散歩している人が多いか、競合がどれ位繁盛しているか、近くに飼い主が集まる公園や広場があるかどうかなどさまざまな事が浮き彫りになってきます。

近くに公園がある場合の聞き込み調査

開業する候補地に広めの公園がある場合は、是非勇気を出して聞き込みをしてみる事をおすすめします。最初は緊張しますが、慣れると楽しくなってくるかもしれませんよ。
公園がない場合で犬を連れ込む事ができるホームセンターがある場合は、休憩所などでワンちゃんと一緒にくつろいでいる人に話しかけてみましょう。

自然に飼い主同士の会話の延長で

この場合も、ただやみくもに話しかけるのではなく、調査用紙などをあらかじめ作成しておき、整理をしながら聞くようにしましょう。最初は特に頭が混乱して意味のない事を話してしまったりしますから。
できれば、「いかにもアンケート調査」という感じを出すのではなく、飼い主同士の会話の延長にしたいものです。自分で犬を飼っている人は一緒に行って自然に話しかけてみましょう。

それぞれのお店の評判も聞き出そう

当然ながら、トイプードルやヨークシャテリアなど「対象」の犬を連れている飼い主に話しかけます。もし対象のワンちゃんがいないようならその公園の近くは考え直す必要があります。
聞き出す内容としては、インターネットでは調べられない項目を重要視します。

通っているトリミングサロンはもちろん、一度行ったけど行かなくなったお店もあるかもしれません。こちらから「A美容室はどうですか」など聞いてみると、悪い評判も聞けるかもしれません。
悪いお店の場合はどこが悪いのか、良いお店は何が気に入っているのかをしっかりと聞いておきたいところです。多く聞き込みをすればするほど「どんなお店が喜ばれるか」が理解できるようになりますよ。

候補エリア内の競合サロンチェック

自分のトリミングサロンを構えたい場所がある程度絞れたら、そのエリアのチェック(調査)も行いますが、同時に競合店舗の雰囲気やコンセプトも調べておきましょう。
カット専門の小さなお店の場合は、中に入るのはさすがに難しいですが、グッズを販売しているようなお店であれば少しの時間であれば入って見渡す事も可能ですね。

後悔しないように事前に項目をはっきりさせておく

チェックする際には、「混雑度」「コンセプト」「実際に来られている犬種」「規模」など、ある程度項目をはっきりさせておかなければ、「あ、あれ見忘れた」という失敗になりかねませんので注意しましょう。
ホームページを見るとある程度わかるので、実際に行かないと分からない事を重点に置くのがいいでしょう。店内のポップをどのように飾っているか、スタッフの愛想は良いか、などが主な例です。

お店のページで調べられる事もたくさんある

パソコンやスマホを使ったチェックもかなり効果的です。
例えばカットに自信があってそれをウリにしたいと思っている場合は、お店のホームページやブログをチェックし、自分にできない事をやっているかまたは自分にしかできない事があるかなども調べるという方法もあります。
価格もホームページでチェックする事が可能です。また、トリミングファンなどの検索サイトでクーポンを発行しているお店もあるので同時に見ておきましょう。

競合サロンの何を調べる?

実際に足を運んだりホームページを調べたりして競合店舗の強さを調べるのは必須項目ですね。そして何を調べるかを事前に決める事も前述しました。
それぞれの項目別に調べる基準やコツを考えていきましょう。同じお店に何度も足を運ぶわけにはいきませんので、できるだけ店舗調査は一回で済ませたいところです。

ガラス張りならトリミング室をしっかりチェック

お店の中に入ったら、トリミングルームをチェックしましょう。何頭のワンちゃんがカットされているか、中心となっている犬種もチェックします。
トリミング台の数とスタッフの数が把握できれば、お店の規模と売り上げの大まかな予想はできます。混雑度から来客数も計算できるでしょう。
メニューはホームページに載っていますが、すべてのお店がマメに更新しているわけではないので、キャンペーンなどの情報はお店でないと分からない事があります。
1ヶ月以内に来店されると半額になる割引や、多頭割引なども、店内ポップで告知している事があります。

インターネット戦略の技術とやる気は

ホームページを調べる際は、そのお店の名前で検索すると1位に出てくるかをまずチェックします。
その次に、「世田谷区 トリミング」「札幌市 ペットサロン」など、地方名と合わせたキーワードもチェックしてみましょう。地方名で出てくるお店はかなりインターネット戦略が上手だと予想できます。
また、パソコンだけでなくスマホでも調べてみましょう。スマホ対応ができているお店はかなりのやる気があるといえます。
肝心なのは「自分だったら行きたくなるお店かどうか」です。もし競合に魅力のあるお店がたくさんある場合は、それなりの覚悟が必要になりますね。

候補地を絞るための「マイ競合チェック地図」

世帯数や犬の保有率などを数字で出したら、今度は地図などを使った「感覚」を取り入れていきましょう。
Googleマップを利用する手もありますが、できれば地元にしか売っていない、細かなお店まで載っている地図を用意したいところです。

色を分けて楽しみながら作ろう

マーカーなどを使用して、地図に競合店・公園・駅・ホームセンターなどの施設・ドッグラン・動物病院などをそれぞれの色に分けてマークしていきます。
この方法であれば、どこに競合店が集中していたり、施設の近くに意外と競合店がなかったりなどの意外な側面が感覚的に見えてきます。
ただし、競合店がないエリアにはそれなりの理由があるかもしれません。そのような裏事情は不動産屋で聞くと良いでしょう。何も事情がないようなら有力な候補地として考えられます。

実際に歩いて調査するための地図

また、その道路を何度か自転車などで通って「交通量」を調べてみると効果的です。渋滞している場所や人が多く歩いている場所を、マーカーを使って塗り込んでいきます。
この「マイ競合チェック地図」が完成すれば、ある程度の候補地が絞れます。ここで4~5つ位に絞れたら、実際に街を歩いていろいろなチェックをしてみましょう。

トリミングサロン候補地を自分の足で歩いてみる

マーカーを使って自分専用の地図を作ってある程度の候補地が絞り込む事ができたら、実際にその場所を歩いてみましょう。
「時間がない」とは言っていられません。この作業をするとしないとで、将来に大きな差が生まれるかもしれません。

同じエリアで最低4回は調べよう

漠然と歩くのではなく、ある程度予定を立ててから歩くようにしましょう。マイ競合チェック地図があるので予定は立てやすい筈です。

自分の都合と照らし合わせながら、さまざまな時間帯や曜日で歩くようにしましょう。同じ場所でも時間帯によって差があります。

できれば、ひとつのエリアを平日と週末のそれぞれ昼と夜で調べたいところです。最低でも1エリアを4回調べる事になります。

犬種や大きさなどをメモしながら

調べる際には、町並みなどの抽象的な雰囲気だけでなく、実際にどのような犬種を連れている人がいるかをメモしながら歩くとより効果的です。当然ながらトイプードルやヨークシャテリアなどのトリミング犬種が多い場所が良いといえますね。

場所によっては大型犬が多く見られるエリアもあります。もし自分が大型犬のカットも考えているなら、それもメモしておくといいでしょう。

歩いて市場を確かめる際に気をつけたい事

実際に自分で歩いて競合店や客層などを調べる事を「市場調査」といいます。どのようなお店を開業するにせよ、この作業をするとしないとでは成功率に大きな差が出てきます。
「マイ競合チェック地図」を作成された方は、この市場調査をかなりスムーズに行う事ができます。色別に分けて候補地が絞り込めているはずなので、調査する項目を絞って集中して歩く事ができるでしょう。

事前準備をすると集中して歩く事ができる

競合店と自分の店のコンセプトの違いがはっきりしていれば、それに沿った候補地探しをする事ができます。例えば、競合店はトイプードル専門だけど自分はテリアにのブラッキングに自信がある、などです。
そうすると、ヨークシャテリアを多く見かける場所が有力になり、トイプードルが多い場所は不利になります。
そのような具体的な事を考えながら歩けるようにするには、事前の競合店などの調査が欠かせません。マイ競合チェック地図は必ず作っておきましょう(似たようなものでも構いませんが)。

候補地に合わせて予定を変えるのは??

コンセプトがはっきりしていない場合や迷っている場合は、その候補地の雰囲気から決める、という事もできますが、これはあまりお勧めできません。
外的要因で自分の方針を決めると、その外的要因が崩れた場合に変更しなければいけなくなります。逆に自分自身のコンセプトをしっかり持っていると、どのような外的要因があっても崩れません。
「ぶれない心」を持っている人は成功する確率が高いですね。お店のコンセプトを決める時もそうありたいものです。

競合店が多い場所で開店する際の対抗手段

人通りが多い、家賃が安い、犬を飼っている人が多いなどの全ての条件を備えている場所は、必ずと言っていいほど競合店がたくさんあります。だからといってあきらめるのは早計です。

差別化ができれば成功する可能性は大

カットにどのようなこだわりを持っているかなど、自分がやりたいお店のスタイルやコンセプトを思い出してみましょう。
そして、自分が店を出したい地域の競合店はどのようなコンセプトを持っているか、客層はどうかなどをしっかりと調べれば、差別化が計れて成功する可能性もあります。

具体的でわかりやすいコンセプトをつくろう

ただ、コンセプトが決まっても、よほどの特別なものがなければ簡単にお客様にすぐ伝わりません。
小さくてもアットホームな雰囲気をウリにするといったような抽象的なイメージより、トイプードルのカットにこだわる、テリアのブラッキングなら負けないなど、わかりやすいものがおすすめです。

今すぐ「自分にしかできない」を作り始めよう

カットの技術以外でもサービスを工夫する事で差別化を図る事もできます。周りのお店にないサービスを取り入れ、それを前面に出してアピールすれば競合と争う事も可能です。
現在トリマーとして働いている方であれば、今のうちから「自分にしか出来ないもの」をつくる努力をしてみてはどうでしょうか。開業するときに大きな武器になるはずです。