手際よく候補物件を確認しよう

融資を行うにはまず物件を決定しなければなりません。その上で申し込む事になります。
ありがちなのが「早く融資を申し込みたいから適当に決めてしまおう」というパターンです。
日本政策金融公庫などで低金利の融資を受ける際に当初の予定と物件が変わってしまうと、融資の審査がやり直し、という事になってしまいます。

筆記用具とメジャーは必須

じっくりと吟味しながら出来るだけ迅速にする必要がある物件探し。少しでも手際よく行いましょう。
良い物件があったらすぐに見に行けるように、不動産屋に行く時は、その物件の資料とコピー(書き込めるようにしておく)、3種類位のマーカーやボールペン、メモ用紙、長めのメジャーは必須です。
トリミングの設備が決まっていたら、それらの大きさを置いたらどうなるかも調べなければなりません。目で推測すると後で後悔する事になるので、はがせるタイプのテープを持っていってその大きさで囲うと良いでしょう。

撮影はどの物件か間違えないように工夫を

撮影用のスマホやデジカメも用意しておきましょう。
普段トリミング後に撮影しているカメラでも構いませんが、連続で撮影しているとどの物件の写真かわからなくなる事があります。
そんな事にならないよう、小さなホワイトボードを用意して「○町何丁目の~ビル」と書いて撮影し、区切りが分かるようにするのがおすすめです。
何軒も回っているとごちゃ混ぜになってくるので、どの物件にどのような長所や短所があったかを覚えておくため、常にメモを取りながら内覧するようにしましょう。

とりあえず仮契約

何箇所かトリミングサロン候補物件を見てまわり「これだ!」というのが決定したら、抑えておきたいところです。しかし、物件探しの段階では融資はまだ確定していない(はず)ので、本契約をしてしまうともしもの事があったら大変です。
ですので、ここではできるだけ「仮契約」ができるように持っていき、一部の手付金を支払っておく形をとるようにしましょう。

仮契約ができない事によるさまざまな心配ごと

もし仮契約ができないと、融資が決定するまでの間に他の人に取られてしまうかもしれません。
しかし、よほど人気のある物件なら話は別ですが、多くの大家さんやビルのオーナーは事情を説明すると仮契約で抑えてくれます。
ただ、仮契約ができずに見積もりだけ出して融資の審査を受け、通ったものの物件が他の人に取られてしまった場合は、もう一度審査をやり直すことになります。
融資の後にきちんと申請した物件を借りて営業しているかを確認するかどうかはその担当者によりますが、違う物件を借りた場合は融資担当者に嘘をついてしまう事になり、訴えられる可能性も否定できません。注意しましょう。

ビルのオーナーが「いい人」なら運営にも好影響

また、仮契約をさせてくれないような融通のきかないビルのオーナーであれば、これからトリミングサロンを営業するにあたって何らかの不具合が発生した場合に心配ですね。
逆にトイプードルなどの犬を飼っていたりすると会話も弾んですぐに仲良くなり、色々とメリットもありそうです。そのような「大家」または「ビルのオーナー」もひとつの選択要素といっていいでしょう。

本契約の準備

低金利の日本政策金融公庫や銀行・信用金庫などから融資を受ける際の申し込み時に、物件の見積もりが必要な事は前述しました。
そのためには「仮契約」が有効な事も述べましたが、できればその仮契約の段階で、「融資さえ決まればすぐに本契約できる状態」に持っていきたいところです。

明け渡しの条件はできるだけ有利にしたい

本契約をするという事は、お互いに条件を理解して賃貸契約が開始される、という事なので、後から文句を言っても契約書に記載されていれば抵抗できません。
なかでも重要なのは「退出時の明け渡し」です。ここは慎重に目を通しておきましょう。
「原状回復義務」が課せられていると、開業する店舗を大幅に改装・改築した際は退出時に多大な費用が発生します。
利益があって移転するなら痛くないですが、仮に売り上げが伸びずに店舗をたたむ場合は泣きっ面に蜂です。

本契約する前に確認しておきたい事項

また、防音に対する事項や改装の制限が設けられている場合もあります。大家さんや近所の住民には犬の鳴き声が気になる人もいるので、防音対策を義務付けられる事があります。
看板を取り付ける際にも注意が必要です。契約前には看板の設置場所と大きさを決めておき、それが設置可能かどうかを調べておきましょう。
すぐに融資を申しみたいから急いで仮契約をし、いざ本契約になったら問題点がたくさん発生した、という事はよくあります。
もし物件を選び直すような事になると融資の審査もやり直す事になり、開店が遅れ、トリマーの仕事を辞めているため「無職」の時期ができてしまうかもしれません。契約は慎重に行うようにしましょう。

不動産屋の言う事を鵜呑みにしない

細かな字で書かれている契約の条件ですが、一字々注意しながらじっくりと見るようにしましょう。ひょっとして思いもよらない規制や条件が書かれているかもしれません。
契約する際には不動産屋と交渉する事になりますが、担当者やその業者によっては慎重な人から適当でいい加減な人まで様々です。「誰も守ってくれない」のが個人事業主だという事を頭に入れ、自分で自分を守るようにしましょう。

大家や不動産屋との交渉はトリミングサロンのオーナーとしての第一歩

トリミングサロンの家賃の発生時期も問題です。ネックとなるのは「改装中の家賃」で、良心的な大家さんやビルのオーナーの場合は工事が終わってから発生、という形をとってくれますが、そうでない人もいます。
改装の期間中はカットもできず利益が発生しないので、初期費用の負担がかなり大きくなり、余計な融資も必要になってしまいます。
「借りるからいいや」と後の事を考えない思考ではなく、少しでも余計な出費を抑えるように大家や不動産屋に交渉する癖をつけましょう。
「ワンちゃんや飼い主様のお相手は得意だけど交渉は苦手で…」という人もいると思いますが、個人事業主や会社の社長になるからには、犬だけでなく人間との駆け引きも必要になってきます。
そしてこれからもこのような交渉が必要な場面は避けて通れません。頑張ってみましょう。