自宅開業トリミングサロンにありがちな「贅沢な悩み」

物件を探して店舗を構える場合と自宅を改装してお店にするパターンを比較してメリット・デメリットを紹介していますが、実際に自宅を改装されたお店はどのような運営をされているのでしょうか。

予約を制限されるケースも

トリミングファンに掲載されているお店のなかにも自宅を使ってこじんまりと大好きな犬のカットで生計を立てていたり、家計の助けにされている方も多数いらっしゃいます。
そのなかでよく耳にするのが「予約が一杯で対処できない」事です。
宣伝効果と口コミ効果でお客様が多数訪れてくれるにも関わらず、新規顧客を受け付ける事ができないのをよく見かけます。
少しでもお客様に来て欲しいオーナーにとっては羨ましい話ですね。

最初から少し広めのスペースを確保するのが上策?

趣味を兼ねてひっそりと営業したい方は上記のような対処方法を取られますが、なかには、本格的な店舗をつくって移転される方もいらっしゃいます。
その理由は、
「とりあえず安くあがるので自宅でオープンしたら、思った以上にお客様に恵まれた」
「最初から自宅開業で資金を貯めるつもりだった」などさまざまです。

もし、自宅でひっそりと営業するつもりでなければ、お客様が想像以上に来られた場合の対処方法も考えておきましょう。
自分以外にトリマーを雇えるように、せめてトリミングテーブル2台分は確保しておきたいところです。

自宅トリミングサロンの「開業場所が選べない」は大きなハンデ?

店舗営業と自宅開業の大きな違いのひとつとして「好きな場所で開業できるか否か」がありますね。これは、自宅を改装してサロンを作るかテナントを構えるか迷っている人の悩みの種でもあるでしょう。

自宅開業でもコンセプトが維持できるなら無理に店舗を構える必要はない?

これは、その自宅の場所や環境によるところが多いので、一概には言えません。その自宅が自分のお店のコンセプトに近ければ生かすべきですし、周りにトイプードルなどのカット犬種を飼っている人が多ければ逆に有利です。
犬を飼っている知り合いの数も考慮に加えるべきでしょう。前節でもご紹介しましたが、犬仲間のグループの口コミは大きな武器となります。

チラシなどの有償の販促活動に関してはどちらも条件は同じです。ただし、人目につきにくい場所に自宅があるなら、自店のホームページやブログに力を入れ、近所の交差点に目印を設置するなどの工夫が必要になります。

自宅開業という選択肢を持っている有利さ

自分にはっきりとしたコンセプトがあり、それを実現するにはどうしても自宅では足りない、というのであれば、自宅にスペースがあるとしても物件を探してみるべきではないでしょうか。

じっくりと探して良い物件が見つからなければ自宅開業に切り替える、という手も使えます。いずれにせよ、自宅にトリミングサロンを作るスペースがあるオーナーは有利である事は間違いありません。

自宅型トリミングサロンの弱い点・気をつけたい事

店舗運営型と比較して自宅を改造して立ち上げるトリミングサロンのメリットをいくつかご紹介しました。スピーディで手軽に開業できる自宅タイプですが、店舗運営にしかできない事や有利な点も多々あります。

コンセプトに沿って開業できる店舗運営とアットホーム一辺倒の自宅開業

当然ながら、自宅開業の場合は場所の自由がありません。店舗運営であればペット可の大型マンションの近くや犬の入れる大型公園の近くなどに場所を絞る事が可能です。

また、時間はかかりますが、物件の周りを調査して犬を連れて歩いている人の多さを確認したり、公園でアンケートを取って競合を調べて対処する事もできます。
従って、店舗運営では自分で物件を選べるため、コンセプトに沿ったお店を出店する事が容易ですが、一方の自宅運営では、どうしてもアットホームで地域密着サロンといったコンセプトになりがちです。

制限用途地域に注意

店舗運営の場合のほとんどは以前にも何らかのお店が入っていた可能性が高く、物件探しの段階で不動産屋が用途地域を把握しているはずなので、自分で役所に行って確認する必要はありませんが、自宅でお店を立ち上げる際には注意しましょう。

もし改装し終わってから許可を役所にもらいに行ってNGになってしまうと大損害です。事前に最寄りの役所で自分の住居が何らかの用途地域にとして制限されていないか確認してください。
インターネットで調べる事が可能な行政もありますが、初心者ではわかりにくい部分もあります。実際に役所で聞いてみる方が正確で手っ取いかもしれません。

自宅を改築してトリミングサロンを作った後のトラブルは?

トリマーとしてトリミングサロンで数年働き、結婚して子供ができたので退職、子育ても落ち着いて時間ができてきたから自宅のスペースを使ってもう一度トイプードルや犬達をカットして家計を助けよう…
そんなこんなで自宅を改築してトリミングテーブルやシャンプーの機材を購入したものの、トラブルになって営業がストップ、なんて事にならないように注意しましょう。

基本の確認を忘れずに

まずは、うっかりミスだけは防ぎたいところです。自宅が用途地域の制限を受けていないかを調べてみましょう。これは、市区町村の役所で聞くとすぐに調べてくれます。
インターネットでも調べる事が可能ですが、役所のホームページなのでとてもわかりづらいという欠点があります。

近隣住民とのトラブルを防ぐには

そしていちばん気をつけたいのが、近所の住民との関係ですね。法律的に大丈夫だと思っていても、民事的に良くない場合があります。それは「静かな生活を脅かしている」と捉えられる場合です。
「法的に問題なく営業している」と言い張っても、近隣の住民にも権利があります。仮に「犬の鳴き声のせいで夜眠れず、身体に影響を及ぼした」という事で医学的に証明されるとやっかいです。

このようなトラブルにならないようにするには、改築をする前に近隣に挨拶し、ペットホテルも行う予定であればその旨も理解してもらえるようにしましょう。
町内会などがある場所なら、そこに相談するのもいいかもしれません。いずれにせよ、近所の方々との触れ合いをさらに積極的にする必要があります。

結局、自宅開業とトリミングサロン店舗とどちらが有利なの?

ここまで長々とトリミングサロンを開業するにあたって、自宅の敷地や部屋を改築・改装するケースと、不動産屋で良い物件や居抜き物件を探して新たにオープンするケースを比較してきました。

それでもおそらく簡単には結論は出ないでしょう。どちらも長所と短所があり、また、一度着工してしまうと元には戻せない大がかりな「行事」ですので、慎重になるのが当然の事です。

自宅の環境次第で有利不利は決まる?

詰まるところ、一般的にどちらかが有利、というのはないと言えるでしょう。はっきりしているのは、そのオーナーの状況によっては有利不利がある、という事です。

まず、自宅開業は、誰でもできる店舗形態ではありません。その点で、自宅を使える人の場合は有利です。しかし、その場所がトリミングサロンに不向きだったり、極端に人口が少なかったり、住民は多いものの犬好きが少なかったりすると意味がありません。

積極的に行動してみよう

しかし、その「犬が多いかどうか」というのは、同じ場所に長年住み続けている人にはわかりづらいかもしれません。色々な場所を転々としている人であれば、「今度の家の周りはトイプードルだらけだな」とか、「犬を連れている人が少ないな」と感じる事ができますよね。

おすすめなのは、自宅開業とほぼ決めた場合でも、自分の家の周りがどれほど有利な条件かを調べる事です。その方法としては、不動産屋に行って「トリミングサロンの店舗を探している」と言っていろいろ見て回るのがいいでしょう。

タダだからといって借りる気もないのに不動産屋さんを引っ張りまわすのも気が引けますが、店舗を見ているうちに自宅開業が不利に思えていつの間にか乗り気になっているかもしれませんよ。