改装できるなら一考したい「自宅型トリミングサロン」

自分の住んでいる家が一戸建てで持ち家の場合は、格安に独立開業ができる自宅型のトリミングサロンも選択肢に入れる事ができますね。
賃貸の物件で住んでいる人には不可能な選択肢のひとつなので、是非有利さを生かしてみたいところです。
大好きなワンちゃんと一緒に生活をしながらのんびり自宅でカットして生計をたてる、または小遣いを稼ぐ、というのは、トリマーとしての憧れの暮らしでもありますね。

自宅型と店舗型のメリット・デメリットはたくさんありますが、ここでは、お互いを比較しながら長所と短所を考えてみましょう。

よほどの改築をしない限り自宅型が安く済む開業費用

開業費用については、圧倒的に自宅型が有利なのは一目瞭然ですね。何といっても賃貸の初期費用が発生しません。主な初期費用は設備投資と改装費、チラシなどのオープン告知あたりで済みます。
しかし、自宅ごと豪勢にトリミングサロン風にしてしまう場合は、店舗を借りるよりも改装・改築費が高くなります。

場所探しと不動産屋・大家との交渉もないのでスピーディな自宅型

開業に至るまでの時期を比べても、自宅サロンはかなりスピーディにできます。店舗運営の場合でいちばん時間がかかるのは物件探しといっても過言ではありません。
さらに、店舗の場合は家賃・条件などの交渉も行う必要があるので、折り合わない場合に一からやり直すという事もあり得ます。
改装資金で融資を申し込む場合も、自宅であれば物件の仮契約などややこしい事をしないで済み、自宅という事で審査も通りやすいでしょう。

自宅型の良い点を2点挙げましたが、その他にもそれぞれメリットやデメリットが多々あります。次節以降で考えていきましょう。

自宅開業型トリミングサロンの強さ「近所の犬仲間」

店舗を借りてお店をオープンするのに比べ、自宅を改装して店舗にする自宅開業型は初期の開業費用が安く済み、準備から開店までの時間も速いという事は前述しましたね。
では、それ以外にも自宅開業型にメリットはあるのでしょうか。デメリットはまた後述いたしますが、ここではその他の長所について考えてみましょう。

宣伝しなくてもある程度の初期顧客獲得が期待できる

自宅を新たに購入したばかりの人を除くと、自宅で開業するほとんどの人はある程度の年数はその場所に住んでいるはずですね。そうすると「顔見知り」も多くいます。
当然、小型犬はもちろん中型犬から大型犬の飼い主までさまざまな知り合いがいるでしょう。
店舗運営では初期の顧客獲得手段は「チラシ」や「ホームページ」「トリミングサロン検索サイト」などが主となり、不確定な要素が多いですが、自宅開業の場合にはある程度の計算ができます。

グループ内なら口コミ効果も抜群

さらに、それらのお客様のほとんどは仲が良いはずなので口コミも期待できます。仲間どうしなら来てくれる可能性も高いでしょう。
しかし、店舗運営型の場合は客層がバラバラなので、口コミがあるとしても一人から一人、といった感じになりがちです。
自然と広告宣伝に費用をかける必要も少なくなります。毎日のカット写真をブログにアップしているだけでも十分かもしれません。ゆったりと営業したいなら自宅型が良いかもしれませんね。

近所に犬仲間が少ない場合のトリミングサロン自宅開業

自宅の一部分をトリミングルームにして開業するタイプの「自宅開業」には、安価ですぐに始められる、近所の犬仲間が気軽に寄ってくれやすいなどのメリットがありますが、宣伝をよほど頑張らないとお客様が来てくれないような立地は繁盛したい人にとっては不利といえます。

ひっそりと趣味で営業したい場合以外は難しい

自宅が交通量の多い場所で交差点など目につきやすい場所であるならわざわざ店舗を借りる必要はないかもしれませんが、住宅街の目立たない場所にある場合は、近所に犬仲間がいなければ繁盛はかなり難しくなります。
何もしないと存在すら知ってもらえませんから、カットの大会やドッグショーで賞を取っていたとしても、お店に誰も来ないかもしれません。

「隠れ家風サロン」というコンセプトも面白いですが、カフェと違ってトリミングサロンに隠れ家的な効果が必要なのかどうか微妙なところです。
よほど個性的で話題になったりすると繁盛するかもしれませんが、基本的に目立たない場所にお店を出すのは「趣味の一環」でやっているオーナーに多いようです。

静かな場所の場合の注意点

自宅のトリミングサロンで注意したい点もいくつかあります。ひとつは「鳴き声」で、犬が少なくて静かな場所にトリミングサロンを立ち上げた場合、昼間はいいのですが夜の鳴き声が問題になります。
自宅開業のメリットのひとつ「ペットホテルを兼業しやすい」というのが、苦情によってできなくなる可能性も否定できません。

見えない場所でワンワン夜中じゅう吠えられたりすると、犬が好きな人でもちょっと?な感じですよね。犬が好きでない人なら尚更で、すぐに苦情を出されてしまうでしょう。その対策も必要になります。

ひとりでペットホテルも営業できる自宅型トリミングサロン

ペットホテルも同時に行う場合は、24時間の管理が必要になる関係上、自宅の方が有利です。とくに一人でトリマー兼オーナーを務めている場合は、店舗営業でペットホテルも行うのは大変です。

ペットシッターに預けるような雰囲気・感覚

預ける側としても、お店の雰囲気よりも家の中で過ごしてくれる方が安心感がありますね。
店によって違いますが、お店の場合はケージに入れられている事が多く、自宅だとアットホームに楽しく過ごしてくれそうな感じは否めません。

また、ほとんどのトリミングサロンのオーナーは昔からトイプードルなどの犬を何頭か飼っている「ベテラン」なので、気分としてはペットシッターに預けているようにもなります。

そのようなさまざまな好条件が揃っている事もあり、自宅型のトリミングサロンでは、1人でやっているにも関わらずペットホテルも兼業されているケースを多く見かけます。

家族の協力があれば更に効果的

また、オーナーに家族がいると尚更安心です。店舗型の場合、24時間管理していても夜中はひとりになりがちなので、何かあった場合は心配ですが、自宅であれば家族が代わりに見てくれる事もできます。

ホテルの利用客の許可が必要ですが、オーナーの犬と一緒に遊ばせる事もできます。このように、いつもと変わらないような状況で預かる事ができるのが「自宅型ペットホテル」の最大の長所といえます。

自宅開業をする場合でもやっておきたい物件探し

自宅の周りに有利な条件が揃っていて自宅開業に気持ちが傾いているとしても、物件探しも同時にやってみる事をおすすめします。
仮に当初の予定通り自宅で決定しても、「ライバルはこうやってお店を選んでいるのか」や「不動産屋はこんな感じで紹介するのか」など、良い経験になる事は間違いありません。

テナント物件を比較して表にしてみる

いくつか候補の物件ができたら、運営費用や建物の年数、大家の人柄、不動産屋の信用度、周りの環境、店舗の目立ち具合、競合の多さ、公園や犬の入れる商業施設の有無などを表にして比較します。

そのうえで大差がなければ自宅開業からスターとしてみてはいかがでしょう。ペットホテルも自宅が有利です。大好きなトイプードルや愛犬に囲まれながら24時間過ごせるのは自宅開業ならではです。

ストレス軽減や子育てに圧倒的有利な自宅開業

不動産屋をいくつかまわり、色々な物件を見て内見もしたうえで、自宅を改築した場合と比べてみましょう。大きな差がないのであれば、低資金ですぐにオープンできる自宅型が有利です。

自宅型は、住み慣れた土地なので自分や飼い犬のストレスも少なく済み、家族も嬉しいはずです。子供を育てながら事業を営む人にとっては最高の環境といえるかもしれません。
それを考慮した上でも探した物件の方が魅力があるならよほどの条件なのかもしれません。信頼できる人に相談したりして、時間をかけて吟味してみましょう。

将来的に事業拡大を考えている人の自宅開業もアリ?

多くのトリミングサロンなどお店の開業指南本には「将来の発展を考えるなら自宅よりテナント」といった旨のアドバイスがされていますが、果たして自宅開業には拡大の道はないのでしょうか。

確かに自宅開業は安価で手っ取り早い反面、規模が限定されるので事業の展開は考えにくいですが、その長所を生かして店舗運営に結び付ける手もあります。

自宅が有利な場所であるならそれを生かす方が得策?

当然ながら、自宅開業にせよテナントの店舗運営にせよ、売上が上がらなくてはどうしようもありません。
もし自宅がトリミングサロンの開店に有利な状況(トイプードルなどのカットが必要な犬種を飼っている人が多いなど)にあるとすれば、事業拡大が希望であっても自宅開業が有利と言えます。

トリミングファンに掲載されている店舗の中にも、最初は自宅でこじんまりやっていたけど思ったよりお客様が多くて店舗に移転した、という方もたくさん見受けられます。

実績を積み上げて改めて融資・出店

事業展開が希望の場合は、自宅開業で稼いだ利益とその実績を利用して日本政策金融公庫や銀行などから再度融資をし、自分の理想のお店を立ち上げるという方法もあります。
有利な場所にある自宅の店舗も継続するべきなので、人を雇って拡大していく事になり、自然と事業が展開されていきます。

最初から店舗拡大ばかり考えて始めてみてもなかなか上手くいかないのが現状です。自宅で開業できるというのは大きな武器なので、無理に初めから店舗を構えない、という選択肢もあるという事ですね。

自宅でトリミングサロンを開業している人のあれこれ

商店街など人目につきやすい場所に自宅がない場合は「広告宣伝費をかけて販促をしっかり行いましょう」という事をよく聞きますね。
しかし、そもそも自宅の通行量の少ない場所にトリミングサロンを作ろうとしている方は、近所に犬を飼っている知り合いがたくさんいたり、自宅でのんびり時間に追われず大好きな犬とたわむれ、カットやシャンプーなどをして楽しく過ごしたい、という方が多いのではないでしょうか。

家事や育児と掛け持ちでサロン経営

トリミングファンで掲載させて頂いているお店のなかでも、自宅型の場合は、「新規のお客様が多すぎて困っている」という事を聞きます。
その理由は、トリマーが自分ひとりで、しかも子育てや家事などで半日位使ってしまうという事が挙げられます。
上記のように、自宅で開業している方の多くは「家業との掛け持ち」が多いのですが、将来的にトリミングサロンをビジネスとして展開する事も可能です。

子供が成長したら固定客を生かして有利にテナント移転

子供に手のかかる間はお金がかからず不定休で時間にも束縛されない自宅型トリミングサロンで運営しておき、子供が大きくなったらその知名度と固定客を生かして近所に本格的な店舗をオープンする方法があります。

この場合、何もない状態から物件を探して新たにトリミングサロンをオープンする場合と比べて最初の広告宣伝費はかなり抑える事ができますね。

既に固定客がいるので、最初にコケる心配もないですし、以前からあったお店という安心感もあります。ちょっとお金をかけて宣伝をし、新規客も加えれば、トリマーを2人でも予約でいっぱい、という事もあり得ますね。
ただし、近所に良い物件を見つけないといけない、という条件つきですが…