改装前に再度確認したい事項

これからお店を立ち上げようとしている方は、今までトリマーとしてカットをはじめさまざまな経験を積んだ方ですよね。
従って、必要な物や便利なアイテムや使い勝手の良い配置などは全て把握していると思いますが、うっかりミスで改装後にさらに改装…といった事がないように、改装の前には念入りに忘れている事がないかどうか確認をしてみましょう。

鏡の位置は決まっていますか?

お店を広く見せる効果と仕上がりチェックに欠かせない鏡。大きければ大きいほど便利ですよね。なかには壁が全面鏡、というお店もあります。
改装してから取り付けるようでは、何かと不具合が発生する可能性があります。改装の際に一緒に取り付ける事をおすすめします。

トリマー時代に「ここに鏡があったらなあ」と思った事はありませんか?その位置が本来の鏡の位置といえます。しかし、飼い主さんから見えない位置にあると効果も半減です。トリミングテーブルの場所と合わせて考えるようにしましょう。

ケージや犬舎を置くスペースは確保できていますか?

トリミングが終わったワンちゃんに待ってもらう空間も必要ですよね。部屋にまだ余裕があるなら心配いりませんが、ギリギリの場合は犬舎を縦に並べるなどの工夫が必要になるかもしれません。

飼い主さんがワンちゃんを迎えにた際に好印象を与えるには、閉じ込められているという印象より「遊ばせてもらっている」感じにしたいところです。可能であれば閉鎖的な犬舎よりサークルなどの見通しの良いお家を使いたいですね。

こまかな設備いろいろ

トリマーとして働いていた頃の「こんな環境で仕事がしたい」という理想の部屋は想像できたでしょうか。雇われてカットをしていると、テーブルやシンク、シャワーの使い勝手、ドライヤーの性能、位置などが気になりますね。

ホコリが溜まると清潔感・衛生上に問題となる天井の照明

普段見る事がない天井の照明ですが、新しいお店の照明はもう決まってるでしょうか。決まっていないなら是非ホコリが溜まらないタイプにしてください。

掃除の手間、清潔感、イメージなどどれをとっても埋め込みタイプの方がトリミングサロンとしては有利といえます。吊り下げだと飛んだ毛が絡まったりするので掃除が大変です。
可愛いワンちゃんでも死毛には寄生虫や細菌が付いている事もあります。衛生面から考えても埋め込みがおすすめです。

改装する価値のある重要なポイント

もし普通の部屋のような吊り下げタイプの場合は、改装を考えましょう。大家さんと相談して、立ち退く場合に以前の照明に戻さなくて良い、というのであれば思い切って埋め込みタイプにしてみてはどうでしょうか。

トリマーとして働いていた際に、足元は気になったでしょうか。もし足がいつも疲れていたりむくみが気になっていたとしたら、床の素材が原因かもしれません。

硬いコンクリートタイプやフローリングでは足へ負担がかかります。柔らかい素材の床にする事をおすすめします。ただし、水に強くて拭き取りが簡単なタイプを選ぶことを忘れずに。

全体の配置を考えてみよう

テナント物件を借りてお店を出す場合は、トリミングルームと同時に全体の配置や構成を考えていきましょう。
その前に、ペットホテルやグッズの販売などを行う場合は広さが必要になるので、配置を考案する前にコンセプトやトリミング以外のサービスの詳細を決定しておかなければいけませんね。

ここでは空想の店舗として、トリミング可能な犬種はトイプードルなどの小型犬からゴールデンレトリバーなどの大型犬まで、ペットホテルは「泊まりなしの当日預かりのみ」でグッズやフードは「こだわりグッズ・フードを多少販売」し、稼働するトリマーは自分を含めて2名のお店、という前提で考えてみましょう。

ちょっとはゆっくりできるエントランスにしたい

トリミングルームの広さは削れないので、お店の敷地によって作業場が占める割合は変わってきます。
広い敷地があるなら待合室を兼ねたラウンジのような部屋をつくる事ができますが、トリミング専門店でそのような広さがあるのは稀で、エントランスには受付の他にグッズなどを置くスペースと椅子が1~2脚あるのが一般的です。

エントランスは、少しの間なら待っていても苦痛にならないような配慮が必要です。犬の雑誌や楽しい雑貨などを用意しておくといいでしょう。

カット一辺倒ではなく「気軽に遊びに来れるお店」に

受付は、入口から見える場所に設置しましょう。常に誰かがいるのが望ましいですが、少人数で稼働するトリミングサロンでは難しい話です。
お店に入って誰もいないと、ちょっと気軽に遊びに来れるお店ではなくなってしまいます。散歩のついでにちょっと寄れるようなお店の方が固定客がつきやすいので、対策を練っておきましょう。トリマーをフル稼働させるのではなく「遊び」の時間をつくるのもおすすめです。

次は、エントランスから見える部分について考えていきましょう。

エントランスから見えるトリミングルームなどの配置

入口がお店の顔だとすると、中に入って最初に見るエントランスは、お店の「目」と言える程重要な部分です。
初めて訪れるお客様はここからお店の全体を見渡します。受付をはじめ、ガラス張りのトリミングルームから見える犬のカットの様子を見て第一印象が決まります。

また、お洒落なグッズや雑貨を置くことによっても印象度がかなり違ってきますね。エントランスそのものの清潔感やセンスも重要となってきますが、そこから見える風景にも気を配るようにしましょう。

受付に人がいない場合の工夫を

受付は、お客様が来店した際に無意識に探す場所です。当然ながら設置するベターな場所はドアを開けて正面です。
トリマーが1人や2人のお店では、受付に人員を割く訳にはいきませんので、何らかの工夫が必要になります。

当然、来店したお客様を放置するわけにはいかないので、ドア付近にセンサーをつけて分かるようにし、カットをしながらでも「いらっしゃいませ」「こんにちは」などと声をかけられる状態にしておきましょう。

オーナーのセンスも見えるエントランス

次にお客様が目にするのは何でしょうか。トリミングルームをじっくり見るでしょうか、それともエントランスを見渡すでしょうか。実際のデータがあるわけではありませんが、エントランスの周りを見ると考えるのが一般的ですよね。
エントランスという空間は、オーナーのセンスの見せどころでもあり、お店のコンセプトを表現する空間でもあります。

トリミングファンでお店を紹介している写真には「外観」「トリミング風景」「エントランス」がありますが、一番お店の雰囲気が伝わるのはエントランスかもしれません。
コンセプトに沿って犬のキャラを生かした飾りやグッズなどを配置しましょう。

ごちゃごちゃしているかシンプルが良いのかは一概には言えません。そのお店の雰囲気が統一されていれば、賑やかなのも効果的です。
トリマー時代には発揮できなかった「お店づくりのセンス」を、エントランスで存分に発揮しましょう。

カット中に時間をつぶせる場所が近くにない場合はラウンジスペースを

トリミングサロンの間取りを決める際にはどうしてもトリミングルームを優先してホールが狭くなりがちです。自分がお客様の立場になった場合に、カットしている間の時間をどうするかを考えてみましょう。
もし近所に何もない場合にどうやって時間を潰すかは意外と重要なポイントになります。

色々なお客様に固定客になってもらうために重要な待合スペース

近所の人が来店する場合は一度自宅に戻る、というケースが多いですが、お店の売上を上げるには少し離れた場所から来てくれるお客様も確保したいところです。
ですので、お店の中で長時間過ごしても苦にならないように、ちょっとした工夫をしておきましょう。

物販スペースにどのような犬種の飼い主でも楽しめるグッズを揃え、犬関連の本や最新の雑誌をたくさん用意したいところ。
当然、ラウンジスペースにはくつろぎやすい椅子を用意しておきましょう。カルテを書く事の可能なテーブルも欲しいですね。

お客様同士の交流の場になればさらに有利に

もし待合スペースが快適であれば、飼い主同士はもちろん違う種類のワンちゃんの飼い主同士の会話も弾むかもしれません。そうするとそのお客様達にも知り合いができ、リピーターになってくれる可能性もかなり高くなります。

ラウンジスペースでリラックスできるお店づくりは再来客獲得の大きなポイントとなります。トリミングスペースを確保したいあまりにお客様の快適な空間づくりを怠らないように注意しましょう。