近年ではスタンダード化した「外から見える部屋」

最近ではほとんどのトリミングサロンが「見える施術」をしていて、ほとんどはガラス張りで外からじっくり見学できるようになっています。

トリマーとしても、最初は見られる事に緊張感はありましたが、何度もやっているうちに普通になってきましたね。
ほとんどの飼い主はカットで預けた後はお店の外に買い物に行ったりカフェなどに食事やお茶をしに行かれますが、中にはじっくりと観察される方もいらっしゃいますね。
そのような方のために、受付の近くに雑誌を多く用意するなど、ちょっと気をそらしてもらうアイテムを用意しておきましょう。

白基調の明るい雰囲気がベター

自宅で行っているトリミングサロンの場合は、そのスペースによって限界がありますが、可能な限りオープンにし、施術中でも様子が伺えるようにするのは必須といえます。
そのため、トリミングルームは、明るいイメージにするのが一般的です。多くのサロンは壁の素材は白を使用し、照明も明るくしています。

お店のコンセプトカラーが木目調であるとしても、トリミングルームは清潔感と明るさを出すために白を用いるのが無難と言えます。

今までの経験を生かして

床や壁の素材に関しては、今までトリマーとして働いた経験を生かして自分なりに考えて良いでしょう。自分の働いていた店の床の掃除が大変だったら、是非改善して快適な環境のトリミングルームを作りましょう。

水を流して掃除ができるタイプが便利ですが、衛生面でいうと拭き取るタイプの床の方が優れているといえます。毛をすぐに拭き取れるタイプの床を選びましょう。

ドッグバス(シンク)の配置には気をつけよう

シャンプーのシンクとトリミング台は別々の部屋にするのが理想ですが、広さの都合上そう上手くはいきません。
同じ部屋にする場合は、できるだけ両方の距離を空けるのが良いでしょう。

利便性を考えると近い方が良いのですが、お客様から見えるイメージとしては良くありません。
また、湿気がこもりやすいので、換気の設備をしっかりと考えましょう。夏場などはエアコンの効きに影響が出てきます。

経験と他の店のアイデアをミックスさせる

トリマーとしてやってきたのですから、自分の経験をもとに、時間をかけて設計してみましょう。
今までは与えられた環境で行っていたので、「ここをこうすれば良くなるのに」とか「これは便利だな」というのが多々あったと思います。
また、自分の働いていたお店に捉われず、他のお店も積極的に見学しに行き、便利な設備やアイデアを盗み出してみましょう。
コンセプトと他のアイデアを組み合わせて、素敵なトリミングルームを創り上げてください。

このような作業は、自分の夢でもあったトリミングサロンをオープンする楽しみのひとつですね。

壁や天井は劣化の遅いタイプを

お店を明るい雰囲気にするためにも、壁や天井は白系を選ぶのが無難な事は前述しましたが、その際には素材にも気を配りましょう。

シャワーの周りや天井は要注意

とくに、ドッグバスなどをトリミングルームに入れる場合は、湿気によるカビや劣化が気になります。せっかく清潔感のある白を基調にしても、カビが発生しては台無しです。

自分の大切なトイプードルをカビのいる部屋には入れたくないですよね。飼い主さんも同じです。最初はできるだけ安価に抑えたいという気持ちにもなりますが、後になって修理や交換をしなくて済むように、水まわりにはちょっと贅沢かな?位の程度の出費も検討しましょう。

高価だがカビに強い新型の防水壁素材

風呂の壁で使用する近年のバスリブ・バスパネルは、カビが発生しにくくなってきました。
古いカタチのタイルでは継ぎ目にカビが発生して定期的なケアが大変ですが、新型の継ぎ目のないタイプであればカビもほとんど気にしなくて大丈夫です。

ちなみに、普通の部屋で使用しているクロスは安価ではありますが湿気に弱く、引っ掻いたりするとすぐに傷つくのでおすすめできません。

トリミングルームの劣化はイメージダウンにも繋がる

お店の心臓部ともいえるカットを行う作業室。華々しく明るい雰囲気をキープしたいところです。カットするトリマーからしてみても、部屋の壁にカビが発生していたり天井が変色しているとモチベーションも上がりません。

節約する箇所とお金をかける箇所の使いどころが難しいですが、トリミングルームには少々無理をしても良いかもしれません。

シャンプーを行う部屋はできるだけ防水のタイプで

トリミングルームとシャンプールームを別々にできれば、それぞれの用途にあった壁を選ぶことができますが、同じ部屋の場合はシャンプールームに合わせるのが無難です。

お店の雰囲気を重視するあまり、デザインの素敵な壁紙を選ぶと後が大変です。その場合はシンクの場所や換気に気を遣い、少しでも劣化させないようにしましょう。

天井も壁と同じような素材を

天井は壁以上に湿気が溜まります。綺麗好きなトイプードルの飼い主さんは天井の汚れも見逃しません。ここも手を抜かず、お風呂場で使用している素材など、湿気に強いものを使用しましょう。

壁同様、バスリブ・バスパネルと言われるものがおすすめで、色も白をはじめ何色か選ぶこともできます。ただし、壁の色と組み合わせなければならないので注意しましょう。

トリミングルームを設計する際の個々の注意点

自宅を改装する場合でも店舗を借りてサロンを立ち上げる場合でもトリミングサロンに必要な設備や設計の基本はほとんど同じです。設計をする前に見落としがちな点をいくつか考えてみましょう。

お店の中核部はできるだけ高性能で掃除もしやすいものを

ドッグバスは、排水の毛詰まりに注意しましょう。排水溝にはトラップを設置するのが一般的ですが、それだけでは不十分なので、ヘアーキャッチャーも併用しましょう。古典的な方法ですがとても効果的です。

排水管が詰まると、衛生面でも問題が出るだけでなく、部屋中に臭いがし、清潔感やモチベーションも下がります。面倒でも毎日コマメに清掃しましょう。

給湯器はできるだけ性能の良いものを選びましょう。トリミングサロンの中核のひとつなので、あまり妥協したくないところです。水圧が低すぎないかを確認し、湯加減の調整もスムーズにできる物を念入りに選びましょう。

程よい空調で快適に

空調設備も重要な点です。ドッグバスとトリミングルームが同室の場合はお湯を使うと湿度が上がるのでさらに気を遣わなければなりません。
ドライヤーを使用すると室温が上昇する事も頭に入れておきましょう。2台以上トリミングテーブルを設ける場合にはさらに空調が重要になります。

優良な空調設備を設置してもお手入れは欠かせません。軽いフワフワの毛は部屋中に散乱して宙に舞います。当然換気口にも飛んでいくので毎日掃除しないと性能に影響が出てきます。排水溝同様に毎日の清掃は必ず行いましょう。

コンセントとドライヤーの位置

前節ではトリミングルームの中核をなすドッグバスと空調設備の注意点について考えました。今回は、コンセントの位置とドライヤーについて考えましょう。

ドライヤーは少しでもストレスの少ない効率的な使い方をしたいですね。見た目にもこだわり、部屋の写真を撮った際に絵になるようにしたいところです。
経済的かつ効率的にするために、今までの経験を生かしてちょっとした工夫をしてみましょう。

コンセントの位置はかなり重要

まずは、なかなか移動しにくくて間違うと厄介なコンセントの位置です。改装して新たにコンセントの位置を決める事ができる場合は、かなり慎重に考えて快適に作業が行えるようにしたいところです。

一般的には床から少し離れた低い位置に設置しますが、自分が今まで行ってきたトリミングの経験で判断しても良いでしょう。
下からコードを回すと足に引っかかったりするので、つり下げるタイプのコンセントがおすすめです。見た目にも恰好良いので一考してみてはどうでしょうか。

天井に高さがあればアームドライヤーも一考

吊り下げ式のアームドライヤーはとても楽に使えますが、位置が固定される分、あとで変更ができないのが難点で、高い位置にコンセントをつけなければなりません。コンセントの位置を考える際にはドライヤーの事も同時に考えるようにしましょう。

また、アーム式のドライヤーは、天井が高くないと危険です。使用しない時間は上に逃がしておかなければならず、上下に可動するスペースが必要になります。天井に高さがない場合はおすすめできません。