気をつけたいジステンパー

混合ワクチンで予防する事が一般的となっているジステンパー。これに感染すると、下痢や嘔吐に加えて神経系の障害も見られる事が多いようです。これは、脳にある神経細胞がやられる事が原因です。ワクチンを摂取していても、そのタイミングが悪かったり、抗体が作られていなかった場合に引き起こる事があります。

発症すると皆と一緒にカットや遊びができなくなる

ジステンパーが発症すると、てんかんの場合と同様けいれんなどを引き起こす事が確認されています。しかし、脳の一時的な障害によるてんかんと違ってこのジステンパーは他の犬にも危険が及びます。
もし判明すると、今までのようにトリミングサロンでカットしたりドッグランで他の犬と楽しく遊ぶ事もできなくなります。ワクチンの接種は必ず適度なペースで正しく行いましょう。

ワクチンは適度な期間で

混合ワクチンの摂取は回数さえこなせれば大丈夫、と思っている人もいるようですが、そうではありません。回数を重ねるのは、抵抗力の弱い子犬時代にその抗体の効力が弱まった時に摂取をするからです。ですので、期間を詰めて摂取したり間を開けすぎると、ワクチンがない状態がつくられます。そうならないように、ミニチュアシュナウザーを飼い始めたらすぐに動物病院でワクチン接種のスケジュールをたてるようにしましょう。

希に見られる先天的なもの

犬の体は血液が循環していますが、当然その血液は脳も巡っています。もし血液に不純物が混じったままで流れてしまうと脳にも障害を及ぼす事があります。
血液を綺麗に処理するのは肝臓の役目なので、脳の血液に不純物や有害物が確認された時は、肝臓の病気も疑われます。

血液は肝臓で浄化されて大静脈に流れている

脳の血液に不純物が入るとさまざまな症状が現れます。すぐに命に関わることは稀なようですが、もし先天的に肝臓から脳への血管の繋がりに異常があると、慢性的になってしまう可能性が高いと言えます。
血液は本来、腸にある門脈という血管の部分から肝臓を経て大静脈へ行くのですが、先天的に門脈と大静脈が繋がっている犬が確認されています。こうなると、血液を綺麗にする肝臓を経由しないので、不純物を含んだ血液がそのまま大静脈に運ばれる事になります。

原因不明の体調不良の原因になっている事も

カットのお客様がもし、度々嘔吐があったり食欲がないなどの相談を持ちかけてこられて、何の病気も確認できない場合には、脳の検査をおすすめすると良いかもしれません。CTなどで費用がかかるので二の足を踏んでしまいがちですが、将来のためにも一度検査を勧めたほうが良い場合もあります。
ただ、ペット保険に入っている場合でも保険が適用されるかどうかは微妙なところなので、あらかじめ調べたほうがいいでしょう。

男の子のミニチュアシュナウザーで気をつけたいのは

生殖器の病気になるのは女の子だけではありません。去勢手術をしていない男の子も睾丸などの病気になる事がよくあります。また、睾丸のような精巣だけでなく前立腺に細菌などが感染する事もあります。

去勢する事によって睾丸の病気が防げる

去勢手術をしないと精巣である睾丸を使用しない状態で放置する事になります。交配の予定がないのであればこれを除去することによってさまざまな病気を防ぐ事も考えて良いでしょう。
とくに、睾丸に腫瘍ができる病気がシュナウザーだけでなく犬には多く見られます。良性の場合は心配ありませんが、悪性ができてしまった場合は内蔵などの機能にまで転移してしまいます。
トリミングサロンで働くトリマーがお客様に「去勢すべきかどうか」を聞かれた場合は、この睾丸の病気のリスクを教えてあげるといいでしょう。「マーキングを直したい」という理由で去勢を考える人が大勢いますが、睾丸の病気を防げるメリットもあります。

シュナウザーにも多い前立腺の病気

前立腺も同様です。子供をつくらないのであれば必要のない前立腺は、年を取って精巣ホルモンのはたらきが悪くなるにつれて病気のリスクも高まっていきます。
前立腺に起こる病気は「前立腺炎」がよく見られます。前立腺に細菌が入り込み、炎症を起こしてしまう病気です。抵抗力が弱くなった老犬に多いようです。その他にも前立腺が膨らんでしまう病気や膿がでる症状などもあります。
経済的にもシュナウザーの体のためにも去勢をする事によって得るメリットは多くあります。もし「男じゃなくなるのが可哀想」という意味のない理由で去勢を躊躇っているのであれば、他の人やトリマー、獣医師などとよく相談して意見を受け入れるようにしましょう。

避妊手術について

繁殖をするつもりがない場合で犬を飼う際に迷うのが「避妊手術・去勢手術をするか否か」です。特に、女の子の場合はお出かけをした際に妊娠する恐れがあったり子宮の病気になる可能性が高くなるので、近年では避妊手術をするケースが増えています。手術をしなかった場合に起こる病気とはどのようなものでしょうか。

どんな病気が心配なのか知っておこう

トリミングサロンで働いていると、カットのお客様から避妊手術をするべきかどうかを相談される事があります。その際に「病気のリスクを防げる」という理由で避妊手術を勧める時がありますが、病気の内容を聞かれたときに分からないとちょっと恥ずかしいですよね。どんな病気を防ぐことができるかある程度知っておきましょう。

避妊手術をしないと細菌の感染のリスクが高まる

よく見られるのが「子宮蓄膿症」です。これは成犬でもある程度年をとった(5歳位~)女の子のシュナウザーに見られます。慢性的な場合はすぐに分かりませんが、急性で発症した場合には発熱や嘔吐もあります。
原因の多くは細菌が子宮に侵入したことによる感染によるものです。子宮は細菌を防ぐ力を持っているのですが、一度も妊娠をしないと徐々にその力が弱くなって感染するリスクが高まります。このため、繁殖を考えない女の子は避妊を進められるのです。
子宮蓄膿症の他にも乳腺が炎症を起こす乳腺炎や膣の炎症なども見られます。いずれも細菌の感染が原因の場合がほとんどです。

ミニチュアシュナウザーの女の子に見られる脳の病気

皮膚や内臓はよく炎症を起こしますが、脳も同様です。そのなかでシュナウザーのような小型犬でよく確認されているのが「髄膜脳炎」というものです。脳の病気なので当然見た目ではわかりませんが、動きがいつもと違うようになったり足を引きずったりする事があるようです。

完治が難しい脳の病気

脳の病気の診断はCTなどの機械を使って行います。また、脳から繋がっている脊髄の液なども採取する事になります。その上でどのような病気の可能性があるかを判断します。カットが仕事のトリマーさんには直接関係ありませんが、このような豆知識も知っておくといいでしょう。
髄膜脳炎と分かった場合でも、完治が期待できる治療法はわかっていません。進行を遅らせる治療を行う事になるでしょう。

髄液が溢れて引き起こる水頭症

脳に起こる病気は脳炎の他に水頭症が有名です。ここでいう「水」は脳脊髄液の事で、普段から脳室という場所に入っています。この髄液が多くなりすぎた場合に引き起こる病気が水頭症です。
脳は、その場所によって働きが違います。髄液が多くなりすぎると脳が圧迫されて水頭症の症状が現れるのですが、その場所によって感覚がにぶくなる症状が見られたり逆に攻撃的になったりとさまざまです。食欲に異常が出る場合もあります。