トリミングサロンの開業場所選びの判断基準

資金に目途がついて、独立開業が現実的になってきたら、徐々に場所決めを開始したいところです。しかし、漠然と「あの辺でオープンしたら成功しそうだな」という判断基準では成功率はかなり低くなります。

衝動的に選ぶのはやめておこう

失敗例として「場所がたまたま空いていたから」とか「安い居抜き物件があったから」というのがあります。
この方法で失敗するとは限りませんが、そのような場合でもしっかりと吟味してから決めたいところです。

駅から遠い方が良い場合もある

基本的に駅から近い物件は賃料が高いですが、駅から近いからといってそこがトリミングサロンに優れた場所であるとは限りません。
例えば、駅の周りには住宅が少なく、少し離れた場所に大きなペット可マンションがあった場合は、賃料が安いにもかかわらず駅から離れている物件の方が成功率が高くなります。

人通りの多さより「質」が大事

人通りも大切な要素ですが、その人がどのような人なのかが重要です。高校や大学が近くにあって人通りが多い場合もありますし、会社が多い場合もあります。「トイプードルなどのカットができる犬の飼い主」が多くないと意味がありません。
そのようなさまざまな点に注意をしながら場所を絞り込み、妥協しないで粘り強く物件を探すようにしましょう。

ちょっとした注意点

開業場所選びまで持ってこられた人はひとつの目標を達成したといえますが、ここからが肝心です。オープンする場所は「自分のコンセプトにピッタリな場所」にしたいところ。

不動産屋と話しているうちに気が変わってしまっている!?

どのようなトリマーさんでも「こんなお店をつくりたい」というのがあるはずですよね。しかし、店舗を不動産屋で探していると、知らず知らずのうちに妥協してしまいます。

妥協するのも肝心ですが、最初に思っていたお店をつくるのに適した場所ではないというのであればちょっと考えものです。

トリマー時代の「ココロザシ」はいつまでも大事にしよう

例えば、ピンクの外装でラブリーな雰囲気のお店にして、ポップな看板にはトイプードルのロゴ…なんてイメージだったにも関わらず、不動産屋に紹介された格安の物件は整然とビルが並んだオフィス街なんて事も考えられます。

安さに目がくらんで入ってしまうと多くの場合は成功率が低くなります。トリマー時代にトイプードルをカットしながら思い描いていたお店の雰囲気はいつまでも大事にしてください。

商圏について学ぶ

商売の種類によって異なる「商圏」

さてつぎは「商圏」という言葉の意味を理解しましょう。商圏とは、自分のお店に来てくれる事を期待できるお客様がいる範囲の事をいいます。
その商売の種類によって商圏は変わってきますね。例えば、大型の家電売り場であれば隣駅からでもわざわざ買いに来てくれますが、八百屋などの小さなお店ではかなり限られた範囲が商圏になります。

さまざまな要素を考えて絞るり込む商圏

例えばカットに来てくれるお客様の商圏を決める場合、「20分以内に来店できる場所」といった感じで絞ります。ただしこれは場所だけでなく人によって見方が違うので、一概には言えません。
人が大勢住んでいる場所でも、主要の交通手段が車なのか、電車なのかで考え方が変わります。東京都の世田谷区であれば徒歩で訪れるお客様が多いですが、電車がない地域では車が来店手段になります。

事前の聞き込み調査がおすすめ

商圏は、自分の主観だけでなく公園や道路でアンケートを実施して調査すると絞り込みやすくなります。
カットが必要な犬と散歩している人に聞き込み調査を実施するとかなり参考になります。住んでいる場所と通っているトリミングサロンだけで良いので、場所を選ぶ際には是非実施してください。

他の商売には人気がない場所を見つけよう

商売にはいろいろなタイプがありますが、トリミングサロンは、主に近所の人が利用してくれる「店舗」です。従って、立地条件が大きな鍵となります。
場所を選ぶ際には、さまざまな要素を考え、できるだけ賃料を安く抑えなければいけません。ベストなのは「トリミングサロンに適しているが、他の商売では難しい場所」といえますね。

人が多く住んでいるから良いとは限らない

マンションがたくさん並んでいる場所は、ほとんどの商売をするに当たって有利ですが、トリミングサロンの場合は一概に言えません。
そのマンションがペット不可の団地やマンションであった場合は、何の意味もありません。いたずらに賃料が高いだけになってしまいます。

競合がひしめいている場合もあるので注意

トリミングサロンの場合は、トイプードルなどのカットができる犬種を飼っている人が多いマンションを探すのが成功の近道といえます。
しかし、近所に競合がある場合も多いので即決は危険です。そのような物件をいくつか探し、その中で競合が少ない場所にするのがベターです。

カットのお客様に目につきやすい場所とは

トリミングサロンを開業する際に考える点のひとつに「目立つかどうか」というのがあります。開店前から存在を知ってもらえるような目立つお店であれば何かと有利なのは言うまでもありませんね。
看板がよく出来ていても、目立たなくては意味がありません。看板を生かすためにも「目立つ場所」に構え、「犬のカットができるお店がある」とすぐにわかって欲しいところです。

信号のある交差点はとても目立つ

車が中心の場所にせよ、徒歩が中心の場所にせよ、「交差点」はとても目立ちます。看板業者が宣伝用に場所を設けているほどです。
また、同じ交差点でも、信号のある交差点の方が圧倒的に有利です。信号がなければ止まってゆっくり見渡す事がありません。
大切なのは、自分でその場所を通ってみて、実際に目につくかどうかを確かめる事です。自分だけでなく、家族や友人にも協力してもらって試してみましょう。

渋滞は送迎するにも不利な要素

注意したい点は、交差点でも「いつも混んでいるエリアでないかどうか」という事です。
その交差点が渋滞していればお店を見てくれる可能性は高くなりますが、実際にお店に車で行く立場になるとどうでしょうか。できれば渋滞には捕まりたくないものです。
また、送迎サービスを行うのであれば、渋滞は大きなハンデになります。犬を送り迎えする時間がカットにかける時間を上回ってしまう、という事もあるかもしれません。

施設や公園が近くにある場所はトリミングサロンに有利?

開業場所の立地条件を考えるにあたり、人通りは重要な要素ですが、その人達は住んでいる人なのか、通勤している人なのか、通学している人なのかなどを考える必要があります。
いちばん安全なのは、住んでいる人にカットが必要な犬種を飼っている人が多いという事ですが、それ以外でも有利となるポイントはいくつかあります。

犬と一緒に来られる買い物施設がある

近年では、ホームセンターのほとんどに犬用の台車が設けられ、一緒に買い物する事ができるようになりました。
夫婦で犬を飼っているような人は、必ずと言っていいほどこのような場所に訪れて自分達の買い物や犬用品を買うのが習慣となっています。
ホームセンターにはペットショップが入っていますが、トリミング専用のお店はそれほど多くありません。このようなお店を利用している人はカットの質より「便利さ」を優先しているといえるでしょう。
従って飼い主であればホームセンターに行った帰りに近くのトリミングサロンに寄る、という事も考えられます。

公園などの散歩できる施設・場所がある

ホームセンターを例に挙げましたが、これは車で行ける大型の公園や川辺、河川敷、海岸なども当てはまります。公園の優れている点は、ホームセンターなどの施設と違い「半永久的に存在する」事です。
大型施設の近くに店舗を構えたものの、そのお店がなくなってしまっては話になりません。しかし、公園や海はよほどの事がない限りなくなりません。
自分の店を出したいエリアにこのような場所があれば是非一考してみましょう。

車の来店がメインになりそうなトリミングサロンでの注意点

地方で、駅が近くにない場所で出店する場合は、いくつか注意したい点があります。せっかく駐車場を用意しても、お店に行くのが大変であったらトイプードルの飼い主は二の足を踏んでしまい、思った通りに来客はとれません。

距離が近いものの分断されている場所

いちばん注意したいのは、住宅街から車で通ってもらうという前提でお店を出した場合で、距離は近いものの線路や川のせいで分断されている事です。
このような場所の場合、距離の割に行くまでに時間がかかるので、少々遠くても行くのに快適な場所を選ばれる可能性があります。距離だけで判断するのは危険です。

コインパーキングと提携するのもおすすめ

駐車場を設けない場合は、近くに数分置けるスペースが必要になります。コインパーキングがあれば提携できるかどうかを聞いておきましょう。
その場合は、トイプードルなどをカットをしている間の飼い主の待ち時間の事も考えてあげましょう。近所にホームセンターなどがあれば安心です。

駐車場があるのは大きなセールスポイント

トリミングファンなどの検索サイトではほとんどの場合「駐車場の有無」を掲載しています。もし駐車場がない場合は、コインパーキングや近所に置くスペースがあるかどうかを掲載する事をおすすめします。
とはいえ、やはり車の来店が中心のお店では駐車スペースは大きな戦力です。今から開店を考えているのであれば、最低でも1台分は確保しておきたいところです。